苦手なもの

「そういえばアオイさん、苦手な食べ物ってありますか」

「ラーメンです」

「ああ、曇るから……。人の姿になっても克服できない弱点なんですね」

「ええ」

「でも曇ったアオイさん見てみたいですね。興味本位ですけど」

「いいですよ。やってみてください」

 僕はラーメンを作った。

 そしてアオイさんがそれを食べようと器に顔を近付けると、アオイさんの顔はテレビの顔出しNGの人みたいにぼかしがかかった。

「もう、なにも見えなくて困っちゃいますよー」

 声も変わっていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る