名前

「ところであなた、名前はないんでしょうか」

「私、ただの眼鏡だった頃に名前を呼ばれた記憶がありません。眼鏡ネーム、付けていなかったでしょう?」

「ふふふ。呼ばなかっただけで、ちゃんとありますよ。眼鏡ネーム」

「そうなんですか!」

「うん。スティーブ」

「ス、スティーブ……」

 悲しそうな顔をした。

「じゃあ眼鏡の女の子だから、ガネミで」

 失望した顔になる。

「嘘嘘。冗談です。青いフレームの眼鏡だったんで、アオイさんと呼びますね」

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