SUN LIFE

カゲトモ

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 なんてことない昼下がり。梅雨だ梅雨だと言われているけれど、予報されていたよりも雨は全然降らなくて昨日の水たまりだけがまだ少し残っていた。それでもそんなに沢山水たまりがある訳ではないのに。どうしてそんなピンポイントに落としてしまうんだ?

「大丈夫ですか?」

「ひゃっ」

 呼びかけた声に驚いたその人はその場で飛び上がって抱えていたものをまた落としてしまう。あぁだからなんで、いやこれは俺が悪いのか?

「ごめんなさい、驚かせて」

「すすすすすみませんっ、ごごめんなさいっ」

 彼は早口にそう言うと水たまりに落としてしまった固形石鹸を手早く拾った。でもそれを拭くものを持ってはいない様で、どうやって持って帰ろうかと悩む顔を見せる。まぁ泥だらけになってしまったものを元のショッピングバックに入れるのは躊躇われるよな。

「あの、良かったらこれ、使って下さい」

「え、あ、でも・・・」

「大丈夫、まだ使っていない新品なので綺麗ですよ」

 良かった。看板を拭く用の雑巾を新しいものにしておいて。今おろしたところだから顔だって拭けるくらい綺麗だぞ。

「あ、いいえ、そうじゃなくて。その、泥がついちゃうし」

「あぁ。そんなこと気にしないでください。もともと外を拭く用に出したものですから、汚れてもいいものなんです」

 それに予備だってあるから。なんだかんだ粗品としてもらうことが多いし。

「それにそれじゃぁ、持って帰れないでしょう?」

 泥水が滴るそれを指差すと男性は一瞬考えてから遠慮がちに小さく頷いた。

「すみません」

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