再会②

始まりの街、カオリと話し合った例の喫茶店がカオリとの集合場所だ。


ついたものの、やはり人が多い。


初イベントに寄せられて、新規もまた増えているんだと実感できる。



「……分かりやす」



PK職ってのは、中々誰が誰か分からない見た目だ。


フードで顔を隠しているからな。あっこの前の!みたいになったら面倒くさいし。


……んでまあカオリもアイアンヘルムで顔を隠しているものの、その図体と立ち振る舞いですぐ分かる。




「……あ!」



目が合った。



「へへ、しっこくさーん!お久しぶりでーす!」



俺を見つけるやいなや、大手を振りながらこちらに向かってくる。


コイツには周りのプレイヤーが見えていないんだろうか。


その巨体が発する威圧感で、自分が道を作っている事に気が付いているのだろうか。



「……?固まっちゃった!」



絶対気付いてないわ……


恐らく死んだ目をしている俺を、トントン叩くカオリ。



「誰?あれ……すげえ威圧感」

「絶対トッププレイヤーでしょ、あれ」

「おいおい、もしかして初心者狩りにでもしに来たのか?名前隠してるし……」



そこのプレイヤー共、聞こえてんぞ……



「よう、久しぶりだなカオリ……ここじゃあれだから、歩きながら話そうぜ」


「はーい!分かりました!えへへ……」


元気いいなほんと。



――――――――――――――



「……で、色々聞きたいんだけど」


「はい?」


「レベル上がってるし、この職業『狂戦士見習い』って何?」



確か最後に会った時はレベル15も行かないぐらいだったのに、それが超えて17。


職業も何かおっかない名前になっている。


威圧感が上がっていたのは、気のせいでなかったようだ。



「い、いやあ実は『朝の運動』がてらPK活動をしてまして……この職業は成り行きでなったものです、すごいつよいんですよ!」


「……」


「そ、そんな目で見ないで下さーいー!」


じっとり見てやると、ポカポカ叩きだすカオリさん。


死ぬからやめて。


ったく……立花と同じ事してんじゃねーか。

俺なんて学生の時は――あ、やめとこ。

狂戦士、ね。それにしても。



「カオリ、ずっと一人で狩ってきたのか」


「……?そうですけど。ふ、フレンドいないですし……」



そうか、ソロでPKを、ね。



「フレンドは俺がいるだろ……で、どうやってソロでPKをやって来たんだ?」



「え、ええー?へへ、そうでした!いや、別にどうって事はないですけど……そうですね」


区切って、カオリは口を開く。


「私はソロの方にずっと挑んでたんですけど。まず不意打ちして、それからクライっていう相手の動きを一瞬止めるスキルがあるんですけど、それを発動して……

バーサーカーの特殊武技のブラッディーアタックっていうのがあって、それで攻撃したら大体終わりました」


なっが。


流暢に喋るカオリ。


まさか、ここまで対人戦を出来るようになっているとは。



「ただやっぱりそれで終わらない事もあるので、その場合は――ん!」



俺は、カオリの口を手で押さえる。


これ以上は、『ネタバレ』だ。



「カオリ――俺と、闘わないか?」


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