第2話 崩落

人間の女エウリュイアが自殺した後、ゼウスは自分の大いなる力を持ってしても愛までは支配できないことを知りました。なぜなら愛は原初神の一人で気まぐれなエロスの仕事だったからです。エロスは愛を司る原初神の一人で、神々の中でとても美しい美少年でした。そこで、ゼウスはエロスを地底の奥深くへと幽閉し、愛の仕事を自分のものにしようとした。


我が子であるエロスが幽閉されたことを知った大地の女神ガイアは激怒しました。しかし、過去の大戦「ギガントマキア」では、ガイアが送り込んだ最大最強の怪物テュポンをもってしてもゼウスに勝てなかったのです。ガイアはゼウスに対抗できる手段がありませんでした。冥王ハデスも先の件で未だ深手を負っており動ける状態ではありません。そこでガイアは、最も原初の神カオスと子を作ることにしました。生まれた子はアウスと名付けられた。ガイアは色々な巨人や怪物を産んできたのですが、アウスはただの赤子でした。ガイアは、アウスが全く戦力にならないと落胆し、アウスを海へ捨ててしまいました。


ゼウスは人間の女エウリュイアが自殺した時のことを考えていました。生き物は不死の神々と比べればあまりに脆く儚い。これは生き物を産んでいるガイアのせいであるとゼウスは考えました。しかし、エロスと違い大地そのものであるガイアを幽閉することはできません。そこでゼウスはガイアの力を削ぎ、生き物の仕事の一部を自分が担おうと考えました。ゼウスは大地たるガイアに攻撃を仕掛けました。幾万もの雷を降らせ、地面はめくれ、山々が吹き飛びました。街々も消滅しました。ガイアはタイタン神族やギガンテスをゼウスの元に送り徹底抗戦しましたが、皆やられてしまいました。ぼろぼろになったガイアは山の麓の奥深くで静かに眠りにつきました。ゼウスはガイアが眠っている間に生き物がより強くなるよう命を書き換えました。

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