第4話 旅立ちの準備(1)

「それでは後はスズに任せよう。この世界のことをいろいろ教えてあげてくれ。それからミオを同行させよう。装備や機材の設定や調整も必要だろう。出発には数日必要かな」

「ありがとうございます」



サービスエリアの食堂に案内された。


「まずは食事にしましょう」

「そういえばオートマタは食事をするのですか」

「はい、食事ができると言った方がいいと思います。私たちは空気中や光から体を動かす魔力や電気のエネルギーを取り入れることができます。または専用の魔力供給機からも魔力エネルギーを補充できます。または食事をして完全に分解してエネルギーに変換することもできます。戦闘のようなことを行うには空気中や光から得られエネルギーでは足りなってしまいますから食べたりするのが不意自然でなくていいですね。ここの業務程度なら空気中や光から得られエネルギーで充分ですよ」


食事は和定食だった。

まあ普通の味だね。

まずはここの施設について教えてもらった。


ここのサービスエリアは大きく2つの部分に分かれる。

内部ゾーンと外部ゾーンと呼ぶらしい。

内部ゾーンはハイウェイ使用者専用エリアだ。

今いる建物の外には駐車場、給油所、給電所、給魔力所、トイレ、荷降ろし場がある。

給油所には簡単な自動車の修理工場もついている。

この世界にはハイブリット車、ガソリン車、ディーゼル車、電気自動車、燃料電池車、魔力車があったらしい。

現在ハイウェイで輸送に使われているのは電気自動車、燃料電池車、魔力車だという。

一般に使われているのは魔力車と馬車と牛車だそうだ。

給油所ではガソリンと軽油が扱われていてこれは私のいた世界と同じ品質だという。

燃料電池車の燃料にも使われるという。

給電所は電気自動車に充電、給魔力所は魔力車に魔力を補充する施設だ。

魔力車だけでなくオートマタや各種魔道具にも魔力を補充することができる。

給電所のプラグには地球と同じものも存在している。


今いる建物にあるのが無料休憩所、有料休憩所、食堂、売店、案内所、宿泊所。

有料休憩所にはテレビがあったりこの世界のインターネットが使えたり資料室があったりして飲み物と軽食が無料だったそうだ。

テレビもインターネットも今では使えない。

ここで仮眠をとっていた人たちも多かったようだ。

現在は全ての施設で有料休憩所は閉鎖中だという。

案内所にはATMがありさらに全世界のハイウェイの情報が手に入るという。

現在は銀行が復活してATMは使えるようになったようだ。

銀行は1組織しかない。

その1組織が全世界を網羅している。

通貨の単位は世界共通で「円」だった。

鉄貨は1円、銅貨は10円、小銀貨は100円、銀貨が1000円、金貨が1万円だという。

先程食べた和定食が500円だということだ。

ATMで扱っているのが紙幣のみで1000円札と5000円札と1万円札と5万円札と10万円札があるという。

ATMは世界共通の身分証明書を所定の場所に置き、右手の掌を認証板というところに載せると使える。

身分証明書は地域の役場か銀行で発行される。

そしてここにはあらゆる情報が記録される。

宿泊所はシングルとツインと4人部屋などがあるという。

バストイレ付きだ。

1人1泊4000円ということだ。


これ以外に内部ゾーンには従業員エリアとして事務室、応接室、休憩所、オートマタ修理施設、倉庫がある。


次に外部ゾーンだ。

駐車場とトイレと無料休憩所と食堂と銀行と売店と買取所と荷物発送所がある。

売店は個人への製品の販売もするが業者への卸もする。

買取所は個人でも業者でも様々なものを買い取ってもらえるところだ。

荷物発送所は全世界に荷物や郵便を送れる。

また受け取りもできる。

荷物や手紙は配達も行ってはいる。

外部ゾーンの仕事は原則人間が行っている。

このハイウェイや工場を覆っている結界の外で活動するオートマタは少ない。

製品等の荷物を運んできた車両もこのサービスの荷降ろし場で製品等を降ろし、専用の窓口から外部ゾーンに出す。

食堂の調理場は内部ゾーンにあるのでこちらで作り専用窓口から外部ゾーンの担当者に渡す。


「大きな荷物の配送や町の商店への製品の卸は魔力車で直接向かいます。サービスエリアとパーキングエリアには必ずインターチェンジが付随して許可された車とオートマタが出入りできるようになっていますから。タカシさんもそこから出入りできますよ」

「人間が乗っているとどうなりますか」

「車が通行できません。たどり着く前に進めなくなります。タカシさんが持っている権限で許可された人間や車両は出入りさせることができますよ」

「今すぐ実行する気はありませんが、私がその気になれば誰でも災害前のようにこのハイウェイを使えるようになるのですよね」

「はい。そうなればよいのですが難しい面もあります。やるとしてもまずは一部の人間だけに許可すべきでしょうね」


この施設が災害前の状態で維持されているということは賢者様も災害前の状態で着けることを望んでいるのではないだろうか。


「お疲れでしょう。今日は宿泊所に特別室を用意してあります。そこでお休みください」




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