Clover on the Battlefield~クローバー・オン・ザ・バトルフィールド~後編

鮎川 拓馬

後編

前編までの人物紹介・用語説明

前編までの人物紹介・用語説明

○登場人物○


●セシル・フィランツィル=リートン

 銀髪を肩につくかつかないかまで伸ばし、水色の瞳をした主人公。リトミナ王家の傍系、リートン家次男だが養子。第一騎士団所属。

 へらへらとしているが、根は理屈たれ。だが、わりと抜けているところもある。

 リトミナ王家固有の魔法である吸収魔法を扱う。派生的に原子魔法も使用。普通の魔法も扱え、十八番は重力魔法と氷系統の魔法。

 度々奇妙な夢を見るが、起きた後は基本的には覚えていない。実は女だが、幼少期のトラウマで男の格好をしていた。

 リトミナの王城で爆破事件が起こった際、混乱に乗じたレスター達にサーベルンに連れ去られる。だが、その後、色々とあって、レスターと結ばれる。


 しかし、侍女サアラの裏切りに遭い、さらにその直後、マンジュリカのペットとアーベルの企てにより、レスターと引き離された。だが、その際、自身に憑りついていた怨霊に完全に意識を乗っ取られ、アーベルを殺害、マンジュリカのペットを退ける。


 そして、そのまま世界を滅ぼしにかかるが、女神に怨霊ごと消滅させられた。



●レスター・ラングシェリン

 サーベルンの諸侯。いかなる相手の魔法をも無効化する、無効化魔法を扱う。従者には、ロイとノルンの2人がいるが、ノルンの方に尻に敷かれている。地味な顔立ちを気にしている。

 政治的な理由で別れ、そののち死んだ恋人への想いに長らく囚われていたが、セシルとの戦闘を経て、立ち直る。そして、セシルと結ばれた。



●ロイ・ウォーカー

 レスターの従者。若干仕事ができないところがあるが、何かとよく気が利く。料理裁縫や庭の手入れといった、家事や家の管理的な事が得意。中でも料理の腕は達人級。

 かつて、母親に売られ、その後レスターの父に保護される形でラングシェリン家に来た。

 セシルに気が合ったが、セシルとレスターの幸せを思い、身を引いた。



●ノルン・ブランドナー

 レスターの従者。珍しい転送魔法の使い手。仕事はとてもできるが、冷徹。当初は敵国の王族であるセシルを警戒し、酷い目に遭わせたりした。

 ただ、それは自国やラングシェリン家の事を思っての事である。セシルが、マンジュリカの精神操作からレスターを命がけで救出した後は、2人の仲を認め、うって変わってセシルに甘くなった。

 かつて、魔法の珍しさから、とある貴族に代々飼われていた。ロイと同じく、レスターの父に保護される形で、ラングシェリン家に来た。



●ラウル・フィランツィル=リートン

 セシルの兄。武勲で有名なリートン家に産まれながら、虚弱であったために、何かと冷ややかな扱いを受けていた。そのため、幼い頃は屋敷に引きこもりがちであったが、セシルと言う兄妹ができてからは、外に何かと引っ張り出されて元気になった。

 自身が立ち直るきっかけをつくってくれたセシルを、大切に思っている。アーベルの魔の手がセシルに及びそうになった際も、偽装結婚という形で何とか守ろうとした。


 セシルは、ラウルの父の姪にあたるため、実際には従兄妹の関係になる。



●サアラ・ホール

 セシルの侍女。だが、事情があり、実はセシルの従姉妹。

 セシルが好きだったが、セシルが女性であることを知り、その恋は叶わないと諦めようとしていた。そして、退職をラウルに願い出るが、引きとめられてしまったために、セシルから嫌われて辞めさせられようといやがらせに努めていた。

 しかし結局、セシルへの想いは募りつづけ、セシルに縁談が来た際に、殺害しようとした。


 セシルがサーベルンの人質とされたことを知り、ラングシェリン家にセシルを取り戻しに行くが、セシルがレスターと幸せに暮らしていることを知り、逆上。セシルをお腹の子共々、殺害しようとした。



●カイゼル・アドランオール

 セシルの幼馴染。セシルと同じく第一騎士団所属。

 物などの時間を操る魔法を使える。セシルとは違い、仕事に対しては真面目。

 アメリアが好きだが、想いを伝える勇気が持てない豆腐メンタル。それでも武闘会後、アメリアにプロポーズをする予定だったが、アメリアは既にアーベルに籠絡されており、それどころではなくなった。

 セシルと同じく、元マンジュリカの手下。

 リトミナの王宮が爆破された日、リトミナ王家の秘密を知ってしまう。



●アメリア・オルコット

 セシルの幼馴染。カイゼルの侍女。珍しい魔法、治癒魔法を使える。

 リトミナの西の方の、山奥の村出身で、たまに訛る。その村の住人は、マンジュリカに操られた賊に皆殺しにされ、現在は誰もおらず廃村となっている。

 アーベルに、セシルの秘密についてしゃべらされようとした際、マンジュリカのペットにあえなく殺害される。


 そして、その死体は、マンジュリカのペットの器の材料とされた。



●マンジュリカ・ウォルトン

 既に故人だが、とある形で生きていた。幼少期のセシル、カイゼルとアメリアが、訳あって仕えていた女。かつて、リトミナの魔術師庁の副魔術師長だった。

 精神操作の魔法が使える。

 リトミナの豚野郎(現国王)と過去に因縁があり、彼が無能になったのは、彼女が原因。


 メルクト大教会爆発事件の後、謎の少年に食べられ死亡。



●マンジュリカの(厄介な)ペット

 魔物を『兄さん』と呼ぶことがある。弓が得意。

 難しい言葉は、発音かイントネーションが変になるらしい。

 マンジュリカは武闘会の際にセシルにペットと言ったが、実際はマンジュリカより力関係では上。


 正体は、意外な人物だった。



●アーベル・フィランツィル=ショロワーズ

 リトミナの王太子。見た目はかつての現国王に似ているという好青年だが、変態のうわさが絶えない。

 男女問わず『恋人』として、自身の手駒としているらしい。動物を相手にしている噂まである。また、リトミナの王城の敷地内にある『蒐集室』で、度々楽しんでいた。

 とある理由からセシルに執着している。


 前編終盤、やっとセシルを手に入れられるという時、セシルに憑りついた怨霊にあえなく殺された。



●ワイアット・ウィッティ

 第一騎士団団長。部下の面倒見がいい。

 昔は嫌味な性格だったが、セシルのおかげで砕けている。愛妻家兼子煩悩らしい。



●リュカ・サーベルン

 サーベルン国王。レスター達を信頼しているが故に、色々と無茶な欲求をする。昔にセシルに妻の命を助けてもらった恩があり、レスター達にセシルの誘拐を命じたのは、その恩返しをするためであった。

 ちなみに、筋トレに加え、運命の相手探しに力を入れる、少々困った息子(王太子)がいる。



●アストラ・エーメリー

 リザントのハーデル村の村長。昔からリザントの地を治めている家系のため、リザントの歴史や、かつて交流のあったジュリエの民の事に詳しい。

 上の代に何人か、ジュリエの民の出の者がいたらしい。

 長男が行方不明。



●テスファン・ローラット

 リザントの酒飲み場の店主。村長の長男と昔に何かあって、村を出て行く原因を作ったらしい。



●謎の老婆

 セシルが1章で出会った、しわしわの老婆。セシルの事を大昔から知っているらしい。



●怨霊

 セシルに憑りついていた怨霊。世界をろくでもないものとし、運命を憎む謎の男。セシルの肉体を完全に支配下に置き、世界を滅ぼすため、セシルの精神を常々狙っていた。

 そして、前編終盤、ついにセシルの精神を取り込んだが、女神にセシルごと、あえなく消滅させられる。


 正体は意外な人物だった。



●ジュリアン・アークライト

 怨霊の支配からセシルを度々守ろうとしていた人物。

 セシルと瓜二つの容姿をしている。




○用語○


●魔晶石

 魔力をはらんだ鉱石。加工次第で魔法道具になる。とても硬度が高く、金づちで思いっきり叩いても割れない。

 ただし、魔法道具に加工するために、魔術式を書き込む際は、やたらと割れやすくなるので注意が必要。魔術式を書きはじめてから少しでもひびが入ったりすると、もうその魔晶石は魔力だけを持つゴミになり、破片を再利用すらできない。



●『神の涙』

 特殊な魔晶石。魔晶石なのに、やたらと脆い。北の地で多量に産出される。

 マンジュリカはこれで『麻薬』を作っていた。



●『女神さまの瞳と涙』と『女神さまの嫁入り』

 ジュリエの民の間に伝わる、2つのおとぎ話。何かを伝えようとする意図がある…?



●魔物

 生命活動の維持のために、生命体を襲いその魔力を食らう獣。肉は魔術師のドーピング剤の原料になる。フンが、ガラス質の砂利状である。



●吸収魔法

 リトミナ王家固有の魔法。ジュリエの民の出である初代王妃から、王家の者に代々受け継がれる魔法。相手が攻撃等に放った魔法の魔力を吸収して、無効化できる。空気中などの自然界の魔力も吸収することができ、吸収した魔力を自身の扱う魔法を強化することに利用できる。

 ただし、吸収できる魔力は無限ではなく、限度を超えると魔法行使者の命に関わる。リトミナ初代王妃は、魔力の吸収のし過ぎが原因で初代国王と共に亡くなったと、2代目国王は伝え残している。



●『蒐集室』

 リトミナの王城の敷地内にある、離れの建物。外観は厳重な煉瓦で、入口の鉄の扉には鎖が何重にも巻かれているという見るからに開かずの間。

 夜に女の泣く声が聞こえた、獣が吼えるような声がしたという話や、そこに肝試しに行った小間使い達が行方不明になった等、心霊話に事欠かない場所。




○国家○


●リトミナ

 王都はリアナ。王政の多神教国家。しかし、宗教は形骸化している(だが、祭りの民族で、年がら年中どこかしらでお祭りをやっている)。ただし、一部地域だけ、宗教が盛ん。

 500年程前、ヘルシナータがサーベルンに対して反乱を起こして惨敗した際、逃れた末の王子が大陸で建てた国。建国には、ジュリエの民の出である初代王妃の力が大きく関わっている。

 王家の者は、ジュリエの民の血を継いでいるため、銀髪に水色の瞳を持つ者ばかりである。また、機密ではあるが、吸収魔法の力も薄れてきている。

 服装は少々和服チック。



●サーベルン

 王都はメルクト。王政国家。大国で、大昔から大陸で勢力を持っており、かつてヘルシナータを支配下に置いていた。

 国教は、唯一絶対の男の神、イゼルダを崇める宗教で、何かと宗教的な制約の多い国家。



●ヘルシナータ

 共和制の島国。かつては王政で、リトミナ王家の初代国王の出身国。

 リトミナのおかげでサーベルンの支配より解放されており、現在もリトミナの友好国である。

 魔術師が少ない傾向にあるが、代わりに魔術使用の技術が秀でた国で、魔法道具の開発が進んでいる。また、科学技術も進んでいる。



●北の地(ジュリエの民達が住む地)

 リトミナ初代王妃の出身地。遊牧民族であるジュリエの民が住んでいる。とある山に住むとされる邪神を、畏怖信仰している。

 そこに住むジュリエの民たちは、皆銀髪に水色の瞳だが、大昔はそうではなかったらしい。


 かつて、リトミナ初代王妃を、『山の神の娘』と呼び怖れ、幽閉していた。

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