第7話 転生したらト○○○○○○○ーだった件

 暗いのには慣れました。

 でもね、いい加減ちゃんと昇天したいです神様。

 前世でなにか悪いことでもしましたかねぇ。ゴボウでしたけど。


 今度はどこだ? というか何になったんだ?


 どれくらい時間が経過したのだろうか。一気に周囲が明るくなった。


 あの音。

 そして水の流れる音がし始めてすぐに俺の舌が引っ張られた。どんどん伸びる。妖怪べろ長も真っ青になるほどだ。最後に引き千切られた。それも割と綺麗にあっさりと。


 間違いない。俺はトイレットペーパーに生まれ変わった。


 カッコよく断言しても、全然決まらない。

 仕方ない。トイレットペーパーだし──


 ただ、すくなくともロールが尽きるまでは生き永らえそうだ。

 そろそろひとつの転生先で落ち着いて過ごしたい。毎回呆気なく次へと行ってしまうから。


 今回ばかりはご主人様の性別については伏せることにしよう。最近は男でも座って用を足す人が増えてきていると言われているし、なんていうかさすがにそういう趣味はない。


 それにしてもご主人様。一回の使用量が多くないですかね。これだと思ったよりも早くに寿命を迎えそうなんですが。


 数日後、なにやら工事をしている。


 ウォシュレットだ──


 これで多少は俺の舌の使用量が減る。それにウォシュレットを導入したからといって用済みになるわけでもない。

 しっかりと寿命をまっとうできそうだ。


 そう信じていた。


 別に家主が癇癪かんしゃくを起してまるごと水に放り込まれたわけではない。身体が溶けていく感覚を味わってはいない。

 単純に、ウォシュレットで洗った水分をしっかり拭き取るので下手したらこれまで以上に使われていたのだ。

 

 舌を出し切ってカラカラと回転する。まるで身ぐるみを剥がされた感覚。思わず「見ないで!」と叫びたくなる。

 骨にあたる芯だけというのがここまで恥ずかしいとは思わなかった。早く俺を捨ててくれたらと願う。次の転生先で幸せに過ごしたいんだ──


 この想いが伝わったのかどうかはわからないが、ごく普通に破棄され燃やされるのだった。

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