第21話 だっかん

「結人の様子はどうだ?」


気賀に尋ねられる。


「なんか思ったのと違うのです!

ユイトは以前と変わらずに真希と一緒なのです!私とユイトはあのメイアラや

シロかばの様に結ばれる運命なのですよ!?」


「博士さん!?何他作品のコンビ名出してんですか!まずいですよ!!

...って、どういう風に違うんだよ」


「本来ならば、

“付き合ったのか?俺以外の奴と...”

と言うはずなのにっ...!

何も言わないのです!何も!」


(サービス終了しそうな台詞だな...)

「しょうがねぇなぁ」


「なにか考えがあるのですか?」


「博士が嫉妬で塗れて苦しむのも嫌だろ?友達として、協力してやる」


「きょーじゅ...、感謝するのです!」






一方その頃...



「助手さん...」


「どうしたのです。かばん」


不安そうな顔をかばんは見せて、彼女に言った。


「午前中買い物に行ってきたんですけど...。

誰かが後から付いて来てるして...」


「後から?」


「気味が悪かったです」


「...」


助手は腕を組んだ。


「暫くは出歩かないでください」

(....ちょっと探りを入れますか)


「気をつけて...、くださいね?」


「大丈夫です。我々は賢いので」


*







“問題は博士が真希と付き合えと言った事だ。だから、ここは、博士。

矛盾するようだが...。いや、ここは

君が元フレンズで女の子という事を利用しよう。そして俺はそれを利用する”


(私なら...やれるのです!)


決行は夜だ。


「ユイト~...」


(あれ?今日は様子が変だぞ...?)

一発でわかった。

アクビをしながら、目をこする。


「一緒に寝てもいいですかぁ...」


「え...、なんで?」


「...えっと」


(何だこの声は...)


もやもやした感じのまま、博士は俺の横に潜り込む。


「...ちょっとカラダが火照るっていうか...」


「ね、熱でもあるのか?」


態と、結人の顔の近くで息を吹きかける。


「...はつじょうき...、かも...」


「は、ははは、はは、はは!?!?」


咄嗟に結人の体をガッシリと抱きしめる。


「こんな...ことはダメだと...

わかってますけど...。この気持ちを...抑えられないの...です...。

長なのに...」


「えぇ...、あっ...」


「でも...もぅ...許してくださいっ!」


片腕を首の後ろにまわされ、顔が間近に...


「ん!?」








昨日の夜の事が唐突すぎて、頭から離れない。


(いっ...、でも、本当に発情...)


頭が少し痛い。

博士は常に起きたのか、姿はなかった。


(元がフレンズなら...、ありえるのかも...?いや、そういう設定...)


何だか良く分からなかった。




(昨日の発情期のフリして強引に口づけ作戦は上手く行きましたかね...?

引かれてなければいいのですが...)


「あ、あのさ...は、博士?」


リビングにいた私に声をかける。


(どうでますかね...)


(直接聞くのって...、

デリカシー無いかな...)


お互いに心理を読み合うが、全然わからなかった。


(いや...、ここはきょーじゅに言われた通り作戦を続けるのです)


「一緒に出掛けてくれませんか?」







数日後


(よし...)


向こうから京ヶ瀬が歩いてくる。

今日はコンタクトでは無く眼鏡を掛けてきた。これで彼女にバレることはないはずだ。彼女とすれ違いざまに、封筒を真っ逆さまに落とす。


何食わぬ顔で廊下を歩き始めた。


そして彼女とすれ違いざまに、封筒を落とした。


スーッと写真が何枚か落ちる。


「あっ」


態とらしく声を出し、写真を拾った。

落ちた事に気付いた真希も足元の写真を拾いとる。


すると、そこには...


(...ん?これって...)


「ねえアンタ」


気賀のことだ。


「はい?」


「これって何?」


見せられた写真にはハッキリと

博士と結人が抱き合ってる写真がある。


「部長がゴシックを持ってこいって」


「これうちのクラスの...」

(結人...?)


「ねぇ、これ貰っていい」


「あ、うん。返さなくていいよ。

もう1枚あるから...。僕は新聞部1年の東根!じゃあ!」


嘘をついて足早に立ち去った。


(さあ...、これで蛇が出るか...

それとも...)




(結人が浮気なんてする訳ないじゃない...、けど、もし結人があの鳥に興味があったとしたら...)


右手を強く握り、彼女は廊下を歩き始めた。

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