第7話 ゴブリンの長

「以上が、嬢ちゃんたちに起キタ事と俺たちが嬢ちゃん達を保護した理由だ

 ここマデで、何か質問はあるか?」

「いや、ないです」

「そうか・・・まぁ、ないなら良いが・・・」


ゴブリンの長であるムラナガさんは、私に質問権を与えてくれたが

私はそれを断った

ムラナガさんは即座に断られたのにびっくりした後、少し悲しい顔をしていた

この人は会話を楽しみたいのかもしれない

ゴブリンという怪物であるのに、私たち人間みたいな反応をする不思議な方だった


馬車から拘束された状態でこのムラナガさんの家に護送され

暴れずに話を最後まで聞くという条件を受け入れ

拘束具からやっと解放された私は、ムラナガと名乗るゴブリンが話す

不思議な話を先ほどまでじっと聞いていた


ムラナガさんが話した不思議な話はこんな感じだった

・この世界は元いた世界とは違う異世界だってこと

・世界情勢としては、魔族と人の戦争が終わった後であり

 双方が歩み寄りをしている所らしい

・いまいる場所は元魔王軍配下の大陸であり、住んでいるのは魔族ばかり

 だが、街にでると人間の商人や騎士団がいるらしい

・その街にいる騎士団や魔王軍に異世界からの訪問者を引き渡すと

 ゴブリン達に恩恵が与えられるらしい


信じられない

本当に信じ難い話だった

改めて冷静になって、自身でいまの話を復習してみると

不思議な話どころではなかった


だが、見たことない景色や肌で感じる異様な空気感

何より、現実世界で見ることはないであろう生物であるゴブリンを見たことで

ムラナガさんの話に信憑性がましている

きっとここは異世界なのであろう


けども、そんなわけのわからない世界にきてしまった私達は

これからどう生活をしていく事になるのだろう?

考えることが多すぎて頭がこんがらがっている


サキに何があってはいけないと

このゴブリン達の前では冷静な自分でいようと、心に決めていた私だったが

物語の異常さについ泣き言をこぼしてしまう


「なんで私たちが・・・普通に学校に行っていただけなのに・・・・」


そんな私を見てムラナガさんは、ゴブリン特有の横幅の長い口を

大きくニヤニヤと開けながら、話をはじめた


「まぁーソウ考えてもしょうがないゼ、嬢ちゃん

 この世界に来た奴らはハジメはみんな嬢ちゃんと一緒で混乱すル

 で、理解もシテいないこの世界で騙されたり、失敗して死んでくヤツもいる」


「そんな・・・その話だと私たち以外にもこの世界以外から来た人がいるような話じゃない!」


「おっ!いいネ、嬢ちゃん!さえてルな

 そうだそうダ、そうなんだゼ!」


「ぇ!本当に!!」


「あァ、しかも

 なんと、ナンと、なんと!!この俺もその一人なんだゼ!!」


「は!?」


ムラナガさんが言ってる事が理解できなかった

そもそも先ほどから、不思議な話のオンパレードだったが

今日の話の中で、一番インパクトの大きい話であった

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