甘い時間②


そして雅樹は急に俺のものにチュッと音を立ててキスをした。


「雅樹…。」

「フフッ、なんて怯えた顔してんの?」


「だって・・・急にキスするとか…、俺こう言うの初めてなのに…。」

「まだしないから大丈夫だよ。まず手で触ってからにするからそんな泣きそうな顔しないで?」


さすがに強気なことを言っても口に含まれるのに不安は確かなわけで…少し安堵の息を吐いた。


雅樹は俺の顔を見つめたり、時折体にキスをしながら俺のものを扱き始めた。


ゆっくりって雅樹は言っていたけど、俺の体は待つ気なんか毛頭ないらしい。

「…雅樹…。」

俺は目で次を求めた。


「ん~?どしたぁ?」

あ、こいつ…また、わかって聞いてるッ!


「しらばっくれんッな!お前が責任取るんだろ?俺が求めたら受け入れるんだろ?…早く…なめ…て。」


もう語尾なんか虫の息だったけど、雅樹はにこりとして戸惑いもせずに俺のものを含んだ。


軽く先を含まれただけだったのに・・・


「ぁん…。」

簡単に声が漏れる。


俺の反応に合わせて雅樹はゆっくりと奥まで咥えて、下で全体をなめる。


「雅樹っ、も・・・放してッ。」

俺はもう限界なのに、雅樹はゆるゆると動き始めた。


「だめッ!そんなことしたらイっちゃうからぁ。」

俺は早く雅樹の顔を外したいのに、放してくれるどころか動きを早くして唇をきゅっと占めてしまった。


「やッだって・・・出ちゃ・・・ぁ・・・。」

俺の声に気が付いたのか雅樹は俺のものを軽く吸い上げた。

それだけで俺の体は勝手に反り返った。


「はぁ…はぁ。」


俺はやっと体のほてりが落ち着いて安堵の息を吐いた。

そうだ…拭かないと…。


俺は雅樹の方にあったティッシュの箱に手を伸ばそうとした…ッ

「ま、雅樹何やって!「見て分かんない?きれいにしてるの。」はぁ?」


いや、ティッシュでふけばいいじゃん!!そのあとシャワー浴びればそれでいいじゃん!!


「まさか…、遥くんは俺の楽しみを奪うこと考えてる?」

・・・!?


「せっかく俺の手でいったんだよ?事後は何するかわかるでしょ?」


ッ~~~!!!!

「な、ならちゃんと風呂できれいにしろよ…下に落ちたら…汚いだろ…ッ」


俺はそういった後に後悔した。

「そう…ならちゃんと俺が背中流してあげるからね☆」


…☆!?

俺がきょとんと首をかしげると、雅樹はまたにっこりと笑った。


そして俺の背中とひざの裏に腕を通した。

「雅樹ッ・・・まさか・・・。」

「フフッ、おっ姫様抱っこぉ~。」


…こいつにやられるのは二回目とは言え…男にこの大の男がッ…お姫様抱っこなんて…。


「ほら、落ちちゃうよ?俺の首につかまって。」


掴まり方くらいはマンガで見たことある…(もちろんNL!ガチ!!)でもここで従うのは…な~んかやだ。


だから…ガシッ

「ほら…掴まったぞ!」

「俺このまま殺されるの?」


「お前が首につかまれなんて言うからだもん☆」

ふふん~、だ。


「…もっと恥ずかしい恰好で運ばれたい?「ちゃんと捕まるよ~だ!」…。」


…解せぬ…。


「遥くんだって落とされるのやでしょ?」

「別にうで回さなくてもちゃんと運んだくせに。」


「え?」

「ッ!!」

やっばい失言したッ!!


「いつ…とは聞かないよ。たぁ~だぁ~!」


いま、俺は雅樹にお説教を受けている…。

理不尽にも全裸で。お風呂で!…雅樹も脱いでるけど…。


「部長に何吹き込まれたんだ、ん゛~!?」


雅樹もちろんご立腹ッ~!


「…だって…俺が寝たふりすれば…お前とのわだかまりが取れるみたいなこと言ってたから…。」

「ほぉぅ…、それをバカみたいに鵜呑みに信じたと。」


「…すみません…。」

「はぁ~…!!」


これ絶対許してくれないやつだ…。


「ご、ごめんなさい...。」

「はぁ...。」


ほらな。

雅樹は呆れたようにため息を漏らした。


...いたたまれない...。

俺は顔を伏せた。...から、急な展開に体がついてなんかいかない。


俺の影だけが見える視界にもう一つの影がさした。

それと同時に優しいぬくもりに包まれた。


俺なその温もりをもう知ってる。


「...遥はもう少し警戒心持って...。」

雅樹は俺を抱きしめる腕を少しだけ強くして、言った。

苦しそうに...消え入りそうな声で...。


ギュ...

俺は自然と雅樹の背中に手を伸ばして、同じだけの強さで抱きしめた。


言葉は苦手...。

でも、こういう伝え方でも...良いよな。


「遥くん...僕の話聞いてた?」

「うん、でも...雅樹に警戒しなくても...いいだろ?」


俺はそっと雅樹に顔を向けた。

「本当に...遥くんって...。」

「...んだよ。」


チュッ

「可愛い。」

「??ッ!!!!!!!!!!」


雅樹は俺の額に優しく口づけをして、もう一度抱きしめた。

...やっぱり...この温もり...

「好きだな...。」

「え?」

「ッ!」


もうヤダ...俺、変人じゃねぇかッ!!!!

「今のは...あったかいのが好きって意味だかんな!浴室に...こんな格好だし...さ、寒いんだよ!」

...あ?、ヤバいヤバいヤバい!!!!!!!!

上手くごまかせたかな...ッ


「...フッ、お風呂入ろっか。」

雅樹は俺の頭をそっと撫でてクスリと笑った。

誤魔化せてない...泣


俺と雅樹は、やっと!!やっっと!!!浴槽に体を沈めた。


「あ゛~~!!生き返る~!!」

「ククッ。」


「な、なんだよ!」

「いや、おじさんみたいだと思ってさ。」

「どうせおっさんだよ、ば~か!」

んだよ、人が気分よく浸かってるってのに。

俺は、体を動かして雅樹に背を向けてやった。


「遥?怒っちゃった?」

「知らねッ」

俺の返事がショックだったのか、雅樹は俺の背中にため息をこぼした。


ふ~んだ!!

…ん?なんか腹のあたりに違和感…んんん!!!??


「おま、何引っ付いてきてんだよ!!」

「遥がこっち向いてくれないから~。」

「~~~!!!」

俺がワタワタと暴れると、雅樹は待ってましたとばかりに俺の腹にギュッとしがみついた。


「それに遥、おじさんのわりには…肌サラサラだよ?」

「てめッ!「だから機嫌直して、ね?」ぜってぇやだね!!」


「え~…、どうしても?」

「あぁ、どうしてもだ!」

「…じゃ…こうしちゃお♪」


すると雅樹は…思いっきり俺のわきをくすぐり始めた。

「ぎゃはッ、やめ、お前!!それだけはッぎゃは、ぎゃはははは!!」


……………。

やっとのことで雅樹の腕から逃れて、俺は思いっきりに睨み付けた。


「ぜぇ・・・ぜぇ・・・。てめ、いいかげんn「やっとこっち向いた。」ッ!!」

睨み付けるんじゃなかった…。


また…そうやって逃がすまいと目を光らせやがった…。

「ね?許してッ」

「…………今日だけだかんな。」

「やった。ありがと、遥。」


そうやって嬉しそうに笑顔を見せられると…。

許したらその笑顔を見られると…知ってしまってる俺には、こうするしかないんだよな。


「どっかのやつのせいでのぼせた。あがるぞ。」

「誰だろ~?」

「そこにでも沈んでろ、バカ!」


ま、言わないけど。

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