第14話 パーティーのお花見

 シオリとタカシを加えた四人のチームでシムゲームを攻略するようになって、六ヶ月が経った。

 戦闘バトルでのサポート能力に優れた二人のおかげで、パーティーの戦略の幅が広がり俺たちは全体としてはプラスの収益を得ながら、ポイントの上位ランキング1%以内に手が届きそうなところまで来ていた。

 敵モンスターから最も近いところで闘う剣士の俺が、ちょくちょくTPを奪われて死亡する以外はそれなりに安定してゲームを攻略してくことができた。

 何より、シオリ・タカシのレア技であるトゥルパの戦術により、俺に向けられる物理攻撃をかなり無効化できたことは大きかった。

 トゥルパの技法にも制約があり一度に二体までしか分身を生み出すことができないのだが、そのうちの一体を俺のコピー体に割り当てることでパーティーとしてのマイナス報酬ポイントを減らすことにつながった。

 残りの一体はダンジョンの性質やモンスターの傾向によって、その都度誰に使用するかを変えてくようにした。

 俺からするとこの戦術はほとんど反則チート級であり、他の大勢のプレイヤーに対して多少の後ろめたさを感じることはなくはないが、タカシが言うには「有利な情報を手に入れるのも、実力のうちだよ。」ということなので、そこはあまり気にせず自分の心配だけをするようにした。

 ただでさえ、このゲームは難易度が高めに設計デザインされているのだ。

 けっこう有利な戦い方を確立できた俺たちのパーティーでも、中級のダンジョンで苦戦を強いられることが少なくない。となると、他の多くの一般的なパーティーにはこのゲームは相当に難しく感じられるはずだ。

 シムゲームも運営費を回収する必要があるために批判はできないが、このゲームはあの手この手でプレイヤーを死亡させようとしてくるはずで、俺たちはそうならないために自分を守らないといけない。己れを守る努力は、このゲームでは義務である。

 パーティー・メンバーの構成は。

 一撃即死の剣士、俺。武器、長剣デュランダル。

 高速詠唱の魔法使い、エリカ。武器、白金プラチナの指揮棒。

 人工精霊を操る心霊術師、シオリ。武器、紫水晶振り子アメジスト・ペンデュラム

 森の精霊と会話する木こり、タカシ。武器、投げ斧トマホーク。

 の四人。

 ちなみに、メンバーの二つ名はネット上で『シムペディア』という百科事典サイトにまとめられている俺たちの紹介文だ。

 サイトの編集者が付けたもので、俺の命名ではない。

 ゲームを始めて8ヶ月が過ぎ、上位1%プレイヤーの仲間入りまであと一歩というところに来た俺たちパーティーは、ウェブ上のぺージに名前が挙げられるくらいにはなっていた。

 月収はようやく16万円ほどに。これは、パーティー全体での収入である。四人で割れば、一人につき月4万円の稼ぎ……。プレイ時間で割れば、時給にして1000円ちょっと。普通のバイトよりは、少し割りがいいくらい。

 もっとも、俺たちは週3日のペースでゲームをしてるので、収入を増やそうと思えばそれは可能である。週に6日くらいゲームをすれば、月に8万円は稼げると思われる。

 体力や精神力の限界はあるにせよ、ひたすらゲームだけしてればそこそこ暮らしてける金額になる。プロのゲーマーとして独立することは、現実的にムリではないだろう。

 しかし、エリカもシオリもけっこうまじめなところがあり、自分たちは学生なのだから学校の勉強もちゃんとやらねばならないと言うのだ。

「ずっとゲームしてるのもいいけど、学生としてやるべきことはちゃんとやらないとね。とくにマヒロは、勉強のモチベーションが湧かないとか言ってるけど、ゲームが上手いんだから勉強もやればできるはずだよ。将来のことを考えて、勉強も今のうちから攻略を進めときなさいよ?」

 とエリカ。

「ゲームだって国際化がすすんで、いろんな国の人がプレイしてる時代よ。ゲームの中の異世界だってグローバル化してくんだから、英語くらい読み書きできないと海外の人たちとメールもできないわよ。それくらいの教養は、男子も身に付けときなさいよね。」

 とシオリ。

 女性陣に耳の痛いことを指摘され、俺たちはゲームを週に3日だけ遊ぶことにしている。

 なんで、女子というのはこうも現実的なんだろう。

 今という変革の時代に、この先どうなるのかもよく分からない世の中でこうまでまじめに計画的に生きようとする者も、ちょっと珍しいかもしれない……。

 タカシですら、

「女子たち、最近では『機会損失』という言葉が多く用いられてるように、今やらないことの危険リスクというのはあると思うんだ。勉強も大事ではあるけど、ゲームでの成功が間近に見えてるこの状況で他のことをやるのは、時間のムダになるんじゃないのかな? ボクたちには受験はまだ先のことだし、今の流れのままゲームを重点的に遊んどくほうがお得な気がするんだけど……。」

 と、やんわり反対の意を表したというのに。

 俺もタカシに賛同気味に、

「ゲームのシステムというのは、とくにネットゲームにおいてはコロコロと変わる。プレイヤーのゲームの進行に合わせて、定期的にマップやプログラムを更新したりするんだ。俺たちの戦い方が今のシムゲームでは通用していても、この先もずっと有利に攻略を進めていけるとは限らない。のろのろマイペースにプレイしてたら、上級プレイヤーになれる機会チャンスも失うかもしれない。今の俺たちならさらに上を目指せるし、行ける時に行っといたほうが安全で確実な気がするんだが。いっそのこと、短期的にでも集中して週に5日くらいゲームをしてもいいように思う。」

 と、意見を述べてみるのだが。

 この後、俺ら男子は女子たちの猛反発を食らって、主張を引っ込めざるを得なくなってしまった。

 彼女たちは、週に5日も私生活を削ってゲームをするのはムリだと言うのだ。そんなに戦ってばかりいて楽しいのか? ゲームをしてるのに、まるで働いてるかのようじゃない? そんなの、全然自由じゃない。

 遊びが義務の時代に、週5日も働いてどうすんの?

 散々、反対の声を浴びせられたのだが、実際シムゲームでは長時間プレイすることがそんなに有利にはならない。システム的にそういう遊びではない。

 レベルの概念がないシムゲームでは、プレイ時間の長さがバトルでの強さに直接は影響しないし、とくに上級セカイにおいてプレイヤーは闘いの中で多くの精神力を消耗させられることになる。

 むしろ長時間のプレイはリスクを高めてしまう上界特有の戦闘バトルシステムがあるためだが、それについては後述されることになる。



 4月。

 俺たちは進級して、高校の2年生に学年が変わった。

 エリカやシオリの要望で、週3日の頻度ペースでゲームをするため収入もそこそこだが、月に一人当たり4万も稼げば学生としては十分な額だろう。

 桜が咲いている。春の暖かな陽気の中でも、異世界は特に関係なく全ての季節……四季を提供する。現実リアルが春だとしても、ゲームの世界は極寒の冬だったり灼熱の夏だったりといろいろだ。年中、四つの季節が存在すると言っていい。

 新年度になって何が変わったかというと、実際世の中には様々なニュースが流れている。これといって興味のある話題もないが、仲間内で雑談のネタになる記事ならいくらでも探せるといったところか。経済、芸能、エンタメ、科学などあらゆる領域ジャンルで、変革は起きている。

 手近なところで俺たちの身の回りに起こったニュースと言えば、まず四月にパーティー仲間メンバーで桜の花見に行ったことと、異世界に『シムバーガー』ショップの一号店が開店したことだろうか。

 花見については、エリカ・シオリの女子陣が春の絶対にしなきゃダメなイベントだと主張するので、俺とタカシの男子で適当な川沿いの開けた花見スポットに場所を取って、四人で桜を見て遊ぶという催しを行った。

 タカシは場所取りのため広場にレジャーシートを敷いている最中、

「まったく。なんでボクたちが、こんなことをしなきゃならないんだろうねえ。花見をするのはいいとして、そのための下準備はぜんぶ男どもにやらせるんだから……。いい場所を取るために朝早くから来なきゃならないし、待ち合わせの時刻までずっと座りっぱなしでいなきゃならない。面倒なことを男衆に押し付けるのはやめてもらいたいと、後で文句の一つでも言わなくちゃ。」

 と、ずっとブツブツ不満をもらしていた。

 俺も半ば同調して。

「ゲームの息ぬきに花見か。花なんて、異世界でフシギなのを腐るほど見てるのにな。温泉にスイーツに花見と、女ってのは忙しくて面倒な生きものだよ、俺たち男からすると。そして、こんな風に朝から動員されてこき使われるんだから、女友だちがいるのも考えものだ。ゲームのパートナーである以上、適度な付き合いはしとかなきゃならないんだろうが。ここは一つ、俺からもはっきりと言っておかないとダメかもな。とくにエリカは、俺たちを便利なキカイとでも思ってそうだ。」

 そう言うと、タカシは深く頷きを返した。

「ふむ、マヒロ君。キミは、なかなか男だなあ。あの女子たちにがつんと言ってくれようとは、勇気があるよ。よし、ボクもぜひ協力しよう。共にモンスター、いや女の子たちに戦いを挑もうじゃないか。ボクたちにだって、使役されずに平穏に暮らす自由と権利くらいはあるんだ。」

 俺たちは意気投合して、女子を相手に共闘する盟約を交わした。

 彼女らが来るまで2時間半ほど、今後のシムゲームの進め方・具体的な戦略について議論を交わしていたら、思いのほか早く時間が過ぎた。

 そして、女子二人がお弁当箱をぶら下げて現れると、タカシが静かに立ち上がって彼女たちに向かい合った。

「やあ、キミたち。待っていたよ。」

 メガネを指で押し上げつつ、次の言葉を発しようとすると。

「ごめんね、待った? みんなで食べるお弁当を作ってたら、少し遅くなっちゃったかも。口に合うか分からないけど、桜を見ながらみんなで食べましょう。」

 とエリカ。

 タカシはしばし言葉を飲み込み、その手にぶら下がったお弁当箱の包みに目をやる。

 しかし、すぐに視線を上げ、彼女たちを交互に見回すと。

「なるほど。料理を作っていたから遅れたと言うのかい。それはいいとして、キミたちは普段からゲームにおいてやれ温泉に入りたい、やれスイーツが食べたい、そして今日は花見がしたいと自分たちの都合を思いのまま口にし、なおかつ実行に移すわけだが。ゲームの進行に差し障りがで出るほどに都合を通そうとするのは、計画や戦略を練ってるボクらとしては甚だ困ることになるのであり。今日の花見にしても、朝から2時間半も前に来て良い場所を取っていたわけでだね。この時間があれば、ボクら男子でもっとゲームについて深く議論・考察することだってできたというのに……。」

 なかなか流暢に女子に抗議をしてくれるタカシ。

 しかし、シオリは聞いていないのか、手に持ったお弁当の包みを俺に差し出してきて。

「マヒロのために、早起きして作ったよ。いっぱい食べてくれると、嬉しいなあ。シオリお手製のお弁当を、お花見しながら二人で一緒に食べようね。」

 これには、俺もタカシも口をつぐんでしまった。

 エリカは、何か不機嫌そうにシオリに視線を移すと。

「ちょっと。それは、みんなの食べる分でしょ。ナニ勝手に愛妻弁当にしようとしてんの。お花見の席で、うちのパートナーを口説くのは禁止。ヘンにちょっかいを出されると、ゲームの進行に差し障りがでるわ。」

シオリも、負けじと応戦する。

「あら、あたしがちょっかい出すのが気に入らないなら、あなたも同じことをやればいいじゃない。恋愛バトルもゲームと同じ、早いもの勝ちよ。あなたがマヒロのことをもたもたしてると、あたしが先に唾付けちゃうんだからね。」

 エリカは顔を赤らめながら、怒ってるような表情をする。

 あまり感情を表に出さない彼女であるが、こういう話をしてる時はけっこう分かりやすかったりする。こいつは普段、恋話こいばななどをしない。

 この女に性別をあまり感じることがないのは、いつも会話のネタが何か科学的で普遍的なことばかりで、もっと身近な恋の話などはほとんど語ることがないからだろう。恋話が、苦手なのかもしれない。

 彼女はぷんすかしながら、シオリから目を逸らすと。

「タカシ君、行きましょ。この二人はこれからデートだって。邪魔をしちゃ悪いから、私たちは向こうで離れてお花見します。私の手作りスイーツもあるから、一緒に食べよ。」

 先ほどまで女子にクレームを付けようと意気込んでいたタカシも、さすがに慌てた様子だ。

この展開と光景は、これまでに何度も見てきたのではあるが。

「ちょっと、二人とも。そんなギスギスしないで、仲よくしようじゃないか。せっかくメンバーでこうして集まったんだし、和の心を重んじて楽しいお花見パーティーをしなきゃ、こんな機会はそんなに無いとも思うし……。」

 戦いを挑むどころか、口ゲンカの仲裁に入るタカシである。

 俺は適当に、話の方向を変えることにした。

「二人とも、わりと忙しいのに時間をかけて料理してくれたんだな。こんな手間のかかる作業、大変だっただろう。せっかく作ってくれたんだから、ありがたく両方ともいただくよ。今日は朝飯を抜いてきたから、腹が減っててな。シオリの弁当だけじゃ、もしかしたら足りないかもしれんし。それに、食事はみんなで食べたほうが美味しいと思うんだよな。わざわざ時間を割いて料理してくれたんだ。メンバー全員で楽しく食べないともったいないよな。それより、みんなでいつもの反省会と行こうぜ。ゲームでの改善したほうがいい部分やこうしたらもっとよくなるという思いつきや提案を、何でも話し合おう。みんなで意見を出し合うことで、このパーティーはもっと素晴らしいチームになるはずだ。」

 これで果たしてごまかせるのか少し疑問に思うが、案外シオリは素直に聞いて納得してくれた。

「それもそうね。食事はみんなで楽しくいただかないと、美味しくないものね。デートならその後でもできるし、恋敵ライバルが目の前にいるからってガツガツしすぎるのも、エレガントさに欠けるかしら。それにしてもマヒロって、料理するあたしたちの苦労が分かっていて、とっても紳士的。いい旦那さんになりそう。」

 シオリは本当に自由だなと、俺は思う。

 心の裏表がなく、思ったことをそのまま口にするようなやつだ。

 これをしたいと思ったら、それをする。

 心と行動が直接つながってるので、誰からも分かりやすい人物である。

 エリカが何を考えてるのか解らないところがあるのとは、いたって対照的だ。

 単純ゆえに行動が早く、ややパーティーを強引に引っぱって(引きずって)くところがあるが、この決断の早さと強引さがなければわざわざこの日花見に集まることもなかったかもしれない。シオリが勝手に話を進めて、俺やタカシは反論する間もなく場所取りの作業も含め、徴収されたのだ。

 この強引さで、俺はシオリの言うデートとやらにも付き合わされる羽目になるんだろうか。

 エリカは面白くなさそうにシオリのほうを向く。

「あなたは、ガツガツしすぎでしょ。肉食系女子にもほどがあるわよ。それに、なんで私があなたの恋敵ライバルになってんの? 勝手な想像をして、何か早とちりしてるんじゃないでしょーか? そんなにマヒロが好みなら、私に気にせずお弁当でもデートでも今すぐ二人で楽しんできたらいいわよ。」

「何、ムキになってるのよ。あたしの早とちりなら、そんなにプンプンした顔をしなくてもいいじゃない。デートとかは後でするから、気を使ってくれなくてもいいわよ? せっかく友だちと楽しくお花見しに来たんだもの。カレシを優先しちゃ、さすがに悪いじゃない?」

「カレシって! なんで、もう付き合うことが確定みたいになってんの? あなたの脳内は現実よりも未来を見てるの? それとも、マヒロもシオリのこと気になってて、すでにそういう関係になってるとか? シオリ、あなた抜けがけはしないって私に言ったじゃない。約束が違うわよ。いつから付き合ってんの? もう、手を繋いじゃったりとかしたわけ?」

 また口論になりつつあるところで、俺がタイミングを見て介入する。

「はっきり言っとくと、俺とシオリはべつにそういう関係じゃない。付き合ってはいないし、お互いの気持ちを知ってるけどなかなか言い出せない微妙な関係とかでもない。俺とシオリの間には、今のところ何にもないことは確かだ。そこは、信じてくれて問題はない。たぶん、シオリはアメリカに住んでたから愛情表現とかがストレートなんだろう。ちょっと仲のいい友だちとかでもアイラブユー(愛してるわ)なんて言っちゃうんだ。俺への好意の表し方も、何となく気の合う仲間にするのと同じレベルのものなんじゃなかろうか。そんなに深い意味はないんだろう。日米の感情表現の違いを、あまり気にすることはないんじゃないかな?」

 自分でもけっこう白々しいことを語ってる気がするのだが、こうでもしないと場を収拾できない。

 パーティーの崩壊を防ぐには、仲間メンバーの精神ケアに気を配りつつ嘘でもいいからごまかし続けることだ。一時的にその場をしのぐことならできるはずだ。

「マヒロ君、モテる男は辛いねえ。」

 タカシが、メガネを指で押しながら呟く。

 こんな時に、余計なことを言ってくれるな。

 また、複雑な空気に逆戻りしてしまう。

……結局、何となくみんな納得してくれた感じになり、ようやくパーティー反省会を行うことができた。

 これは今日のところは形だけで終わらせ、後は満開に咲く桜を見ながらの食事タイムとすることにした。

 シオリのお手製弁当は、名付けるなら『焼肉・ステーキ弁当』といったところだろう。ちょっと予想はしていたが、肉が中心の献立メニューである。

 牛焼肉と牛肉のステーキがおかずの大半で、じゃがいも・人参・ブロッコリーなどが端のほうに添えられてる。残りはほぼ白米であり、食物センイが圧倒的に少なかった。

 エリカの手作り弁当は、雑穀米と鳥の唐揚げを主として千切りキャベツ、玉子焼き、プチトマト、うさぎ形のリンゴなどが添えられる。こちらの方が、野菜は多く摂れそうだ。デザートに、ホイップクリームたっぷりのプリンが用意されてるのだが、見るからに甘そうだ。

 どちらも長所があれば短所もあるようなお弁当だが、二つを合わせて食べれば意外とバランスが良いことに気づいた。肉・野菜・糖分が全て摂れる。二つ同時なら、悪くない。

 食事の後は、スゴロクやダイヤモンド・ゲームなどのボードゲーム、UNOやトランプといったカードゲームで遊んだ。普段のゲームの息ぬきに、こうした非電源のパーティー・ゲームをするのは楽しい。

 シムゲームと違って、金のかかったマジな遊びではなくリスクもなしにみんなで和気あいあいとプレイできるからだ。

 おやつの時間の頃には解散して、それぞれ家に帰った。

 このイベントで、パーティーの絆やら結束がさらに深まったかに思えたのだが。

……俺たちは仲間だから一緒にいるわけじゃない。お金に換えられるポイントを得るために、あくまで利害が一致するから共闘してるだけだ。

 パーティーを組んで協力して遊ぶシムゲームだが、それは友だちを作るということじゃない。このゲームの根本にあるのは、むしろ一人で何かを選択して決める常に孤独な闘いだった。

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