報復に関する、簡単なまとめ

 カラスのリーダーたる僕は、みんなを動かすことができる。


 でも、それには責任が伴う。理由も必要だ。


 だから僕は、数日間に渡り、いじめっ子を調べ続けた。


 学校が終わったら、悪友たちを連れ、カラスいじめ。


 石を投げたり、唾を飛ばしたり。カラス側には、それで怪我をした奴もいる。


 その後は帰宅。家族で夕食を共にした後、9時に就寝。


 これはやれる。僕はそう思った。


 人間による、カラスいじめに対する、僕たちの報復手段は、前々から考えられてきた。


 誰もやらなかったのは、誰も言い出しっぺになりたくなかったからだ。


 言い出しっぺが責任を負わされるのは、人間も、カラスも一緒だ。


 みんなを説得するのには、ある程度の時間を要した。でも、不満を抱えていたのは事実だ


 だから、最後には全会一致で、いじめっ子の家に対する“報復”がなされた。


 いじめっ子が就寝した9時から朝まで、交代制で、鳴き続けたのだ。


 これは、前々から検討されていた方法で、報復の手段としては、古来から有効とされていたものだ。


 事態は好転するかに見えた。


 きっと今でさえ書類的な話しかできないのは、この後に起こったことがあまりに衝撃的だったからだと思う


 翌日、女の子は神社に来なかった。その翌日も、そのまた翌日も。


 彼女が神社に来たのは報復の四日後、夜のことだった

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る