第28話

「はあはあはあはあ、忠助、こっちでいいのですよね」

「はあはあはあ、はい、連絡ではそう聞いてます」


咲夜と忠助は目的地に向かって走っていた。

そして二人は目的地に着いた。

しかし、そこには妖魔の姿はなかった。


「今日も空振りかあ」

「うんそうね、でも何かが引っ掛かるわね」

「どういうことですか」

「星読みがはずれることはあるけれど、これは異常だわ」

「でも、妖魔はいない方がいいと思いますが」

「まあ、それはそうなんだけど。しかたがない、今日のところは帰りましょう」

「はい」


そのとき、二人のもとに小鳥が飛んできた。

その小鳥は、咲夜の手のひらに乗ると紙へと姿を変えた。

それは、星読みのばあさんからのものだった。

そこにはこう書かれていた。

『妖魔の反応が、何かによってかき消された。嫌な予感がする。もう少しそのあたりを調べてくれ』と。

咲夜もそれは感じていたが、星読みのばあさんからの頼みと会って、いやいやながらも行く素振りをした。


「星読みの婆様は人使いが荒すぎます。でも、京の民たちのためですから、しかたがありませんね。いきますよ、忠助」

「はい。わかりました。では、この先の様子を見てまいります」

「うんおねがい。なにかあったら、大きな声で叫ぶのよ」

「はい、それでは行ってきます」


忠助はこの先の様子を見に、咲夜を置いて行った。

しばらくすると、忠助が慌てた様子でかえってきた。


「なにかあったの?」

「は、はい。音をたてないように静かについてきてください」


咲夜は異常事態だと察して、何も言わずに忠助の後をついていった。

忠助はだれも住んでいなそうな廃屋を指さす。

この廃屋になにかがいるのかと、だまって咲夜は指さした方向を見る。

そこには、蜘蛛の姿があった。

しかし、その蜘蛛の姿をしたものは、どう考えても大きすぎた。

その大きな蜘蛛は、何かを貪っているようだった。

それを見た咲夜はピンときた。

こいつだ。

最近妖魔が消えていたのはこいつのせいだ。

今この京の都は、都全体が蟲毒の壺状態になっているのではないかと咲夜は考えた。


「忠助、あなたは応援を呼んできて頂戴」

「えっ、姫様は?」

「私はこいつを倒す。できるかどうかわからないけれど。多分あいつは他の妖魔たちを取り込んで強くなってるはずだから早く行って。こいつはここで倒さないと大変なことになる。たぶん。だから早くいきなさい!」

「わ、わかりました。どうか姫様無理はなさらずに」


忠助は黒巫女たちを呼びに行った。

無理はするなか。

それは無理みたいです忠助。

咲夜は気配を消し蜘蛛の妖怪に近づくと、蜘蛛の背中に飛び乗り刀を突きさしたのだった。



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