第6話

「ねえねえ早紀、九州の事件聞いた?」

「うん、なんだか、すごいことになってるね」

「そう。でも、あたしの前に出てきたら、バッといってズバッ、これで終わりだけどね」

「あっそ。何言ってんだか分かんないけど、そんなに簡単じゃないとおもうけどなあ」

「何言ってんの、早紀だって、バットいってズバッ、これでおわりだよ」

「はいはい、そんなに私を買ってくれてありがとう」


ふむ、美紀の話じゃ分からんかったが、早紀は、今の自分たちじゃ負けると思っとるようじゃな。

それにしても、機動隊を壊滅状態に追い込み、黒巫女を重傷者5人の死者1人か。

トリプルAクラスの妖魔と戦ったようなものじゃな。

もしかすると、それ以上かもしれん。

そんな黒巫女が、敵に回っとるとは、まさに生きる災害じゃな。

黒巫女が妖魔を封じるのは、自然災害などに大きく影響を与えてしまう。

じゃからその前に封印するというわけじゃ。


「美紀~!妖魔がお城前通りに現れた。準備して車に乗れ。送ってやる。

あ、あれ。美紀は?」

「正宗持って、飛び出していきました」

「あの馬鹿が。走って行くつもりか。まあいい、途中で拾うか。早紀ちゃんは乗ってくだろ」

「ということは、Bクラス以上ですか。ああ、そうだ」


お前のおやじ、城まで送ると言っとったぞ。

まあ、聞こえんか。

コイツはもっと、人の言う事を聞かんといかんな。

落ち着きが無さすぎるわい。

誰かどうにかしてくれんかの。


「早く車に乗りなさい、ばか!」

「あっ、早紀。なんで車に乗ってんの?」


やはり、車のほうが早いか。

距離が距離だからな。

走って着いたとしても、バテていたら仕方がないしの。

サイレンを取り付けて車で走ると、10分もかからずに現場に着いた。

妖魔は結界内に閉じ込められていた。


「うわ、なにあれ、キモイ」


妖魔は芋虫の体に、ミミズの首、頭は8つの目のホントに気持ち悪い妖魔だった。


「美紀、私が動けなくするから、封印よろしく」

「ずるいよ早紀。封印は早紀がしてよ。私が動けなくするから」

「私封印するの下手だから」

「うそ!」


二人が譲り合っている理由は、斬り伏せて動けなくするのは一瞬で終わるが、

封印には妖魔に剣を突き刺し、封印が終わるまで手をはなすことが許されないからだ。

二人とも、気持ちの悪い妖魔には、出来るだけ近寄りたくないのだ。


「それじゃ、じゃんけんで」

「わかった」

「こら、二人とも早く封印してしまえ!」

「「じやんけんぽん、あいこでしょ!」」

「やった~!かち~~」

「くそっ、負けた」


じゃんけんは、美紀が勝ち早紀は負けた。


「うりゃ~!」

ぼこっ!

「はい、早紀、あとはおねがいね~」

「く、くそ」


早紀は恐る恐る近づいてゆく。

そして、頭の部分に脇差ほどの長さの刀を突き刺した。


「うわ~、キモイよ~早く封印されなさいよ~」


だが、そう簡単には封印されない。

ミミズの部分が刀に吸い込まれていった。

あとは、芋虫の体だけ。

封印するまでに、30秒ほどかかったが、これは普通である。


「な、何分かかった?10分くらい?」

「10分もかかる訳ないじやん。あんな弱いの。30秒くらいかな」

「そんなわけない!」


嫌なことは、長く感じてしまうのです。

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