第4話 魔力操作

 体内にあるであろう力を探る。

 熱を帯びた何かが体内を巡っているのを感じ取れる、恐らく気であろう。

 生前よりも明確に流れを感じることが出来るのは、『操気』の恩恵だろうか。


 そして気とは別の、なにか体にまとわりつくような、じわじわと胸の辺りから滲み出ているような物を感じる。

 これが魔力か……?


 この魔力(?)を、意識的に動かせないか、試してみる。


 ぐっ…… 動きそうな気配はあるが、すごく重い…… 気がする……

 もう少し力を込めてみるか。


――ズ…ズズッ!


 胸の奥から一気に何かが引っ張り出される感覚。

 うっ…… 吐きそ……


 視界が明滅し、僕は意識を失った。



 目が覚めたら夜になっていた。気絶していたのか……

 恐らく急激に力を放出してしまって、貧血のような状態になったのではないか、と自分の体の感覚から推測する。


――ぐーっ


 空腹感がやばい。と思っていたら隣に寝ていた母が起きて、乳をくれた。


「------」


 安心した表情で僕をなでている。いきなり気絶して夜中まで起きなかったのだ、心配をかけてしまっただろう。


「あうあー」


 母の頬に手を当てて感謝と謝罪の気持ちを伝える。いや伝わってないだろうけど、気持ちの問題だ。


「----♪」


 伝わったようだ。

 母は嬉しそうな顔をして眠りについた。


 僕も今日はもう寝よう……



 翌日、母の目を盗んでまた『魔力操作』の練習を行う。

 なぜ母の目を盗んでいるのかというと、近くにいると他人の気や魔力も感じ取ることが出来るからだ。

 赤ちゃんがいきなり魔力を操作していたら気味が悪いだろう。


――ズズッ……


 あっやばっ……


 僕はまた意識を失った。

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