第2話 転生

 暖かい…… ここは天国か……?


 ふと目を開ける、視界がぼやけているが、なんだか白くて明るい。

 目の前に妙齢の、綺麗な女性が見える。女神か?


 ていうか…… 顔!! 近くない!?

 近いというか、包まれているような温もりも感じるし、これ…… 抱きしめられてる……?

 しかしこんなに綺麗な女性が近くにいるというのに、ドキドキはしない。むしろ言い知れぬ安心感を感じる。

 彼女から感じる体温が、とても心地いい。


《外部からの『気力』の流入を確認しました。『気力』の流れの解析に成功しました。スキル『操気』を獲得しました》


「-------」


 なにか喋りかけてくるが、何を言っているのか分からない。何語だろうか。

 ていうか、ちょっとまて。

 今なにかボーカ◯イドの声みたいな人工的な音声が聞こえなかった?


「------!」


 女性と同じくらいの年齢の細身の男性が大声をあげながら近づいてくる。

 泣きながら笑顔という、非常に器用な表情をしている。

 そして女性の手から、男性の手に僕が渡される。


 ……ん? 渡される?


「---!-----!!!」


 すごく…… うるさいです……

 いやいや、今それどころじゃ…… うるさっ!!


 うるさい男性は放っておき、自分の手を見る。

 小さい。



 これは…… 新たな生を授かっちゃった感じ……? 前世の記憶を持ったまま……?

 そんなこと、現実にありえるのか……?


《外部からの『魔力』の流入を確認しました。『魔力』の流れの解析に成功しました。スキル『魔力操作』を獲得しました》


 あー…… うん。

 なんとなく分かった。


 ここ、ファンタジーの…… 世界だ……


 抗えない眠気に誘われながら、僕は現状を悟った。

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