学園ラブコメ期待して異世界転送したのに・・・男子校かよっ!!

トンテンカン

第1章 男子校

第1話 憧れの異世界学園生活?

休み時間の教室


「オーイ、転送生てんそうせい・・・次、体育だから移動だよ」

「もう、ぼーっと席に座ってないで ちゃんとノートを写す!・・・体育の授業が終わったら、ちゃんと写しといてよね!」

「・・・・・・今日は・・・あの・・・早起きして・・・作り過ぎたから・・・よ、良かったら・・・い、一緒に・・・お弁当・・・食べる?」


俺がこの学園へ転送して来てから数日が経った

クラスのみんなは、初日の俺にも臆せず、気さくに話しかけてくれるし、わからないことがあれば何でも教えてくれるので、異世界での生活に何の不自由もなく、楽しく過ごしている。


・・・・・・でもな


「ほら、座ってないで早く行こう」

「お、おう・・・ってそんな引っ張るなよ―――うおっ!?」


―――むにゅ!!


「―――ちょっ!?・・・ど、どこ触ってんだよ!!」

イスから立ち上がる直前に腕を引っ張られ、その勢いで足が縺れてしまい、クラスメートのおっぱいを・・・

―――いや胸筋を鷲掴みしてしまった。

「わ、悪いっ!!」

「―――ったく!転送生は・・・相変わらず、おっちょこちょいなんだから」

ごめん、ごめんと頭を下げ、更衣室へ移動を始める

「・・・あのさ・・・そろそろって呼び方・・・やめてくれない?」

「・・・・・・なんで?転送生って呼び名、格好良いじゃん!」

「いや、俺にも引野ひきの ゆうって名前があるから、誰か一人ぐらい名前で呼んでくれても・・・」


異世界に転送して来た生徒

―――略して転送生てんそうせい!!

その呼び名自体は、気に入っている!

転送生って呼び方は、なんか、二つ名みたいで俺の中二病を刺激する格好良さがあるが・・・

全校生徒に転送生そう呼ばれるのは・・・ちょっと寂しい


「・・・そっか!本人がそう言うなら・・・俺は、引野って名前で呼ぶよ!」

「―――本当に!?なら俺もお前のことを・・・」

更衣室の前に着き、ドアノブへ手を伸ばす

「―――引野っ!!その更衣室は!?」


パンツ パンツ パンツ パンツ

目の前には、下着姿の生徒達が!?


やばい やばい やばい やばい やばい

話に夢中になり、間違えて隣の更衣室のドアを開けてしまった!

着替え中の更衣室を開ける行為は、異世界だろうが魔界だろうが許される筈などな―――

「転・送・生ーーー!!」

「―――は、はい!!」

背筋をピンっと伸ばし、腹から声を出す。

こ、こ、殺されるーーー!!

「・・・・・・寒いから早く閉めろよ!」

「そうだそうだ・・・寒いだろうが!」

「は、はい!!」

失礼しましたっ!と頭を下げ、更衣室のドアを閉める。

「・・・引野!そっちは、3年生の更衣室だよ・・・本当、引野は、おっちょこちょいなんだから―――はっははは」

「は、はは、はっはは・・・・・・ハァー!!」

深いため息と不満も漏れる


こ、こんな・・・


こんな筈じゃ―――



≪ラッキースケベ≫


この言葉を聞いて、ときめかない男は、いないだろう!

俺もその言葉を聞いてどれだけ心を躍らせたか・・・


―――ここへ来るまでは!!


風が吹けばスカートが捲れパンツが見え、ドアを開ければ着替え中、転んだ拍子におっぱいを触れる

普通、女性にそんなことをすれば警察へ通報され法の裁きを受けることになるが・・・

ラッキースケベならビンタ一発で許される。

そんなラブコメ主人公のような学園生活になる筈なのに・・・


・・・なのに



―――なんで男子校なんだよ!!

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