第7話 溜息と共に、沈黙を破ったのは

溜息と共に、沈黙を破ったのは罵倒された機械仕掛けのだった。


「フ~ッ。 姫様……、皇女殿下でしょうか? 

擁護して頂き、感謝に絶えませんが。

これは自身が決めた事……。

先ほども言いましたが、私も部下達も後悔は無いのですよ 」

は皇女殿下を見やると、穏やかに、そして語る様に言葉を続ける。


「それに…… 化物…… と言われるのには慣れてります。

この力を得ても、どんなに強大な力を得ようとも……

残念な事ですが、指先をすり抜ける命は在るのですよ。

辛い事ですが、全てを救う事等出来はしないのです。

あと少しで助けられた命、手が届かずに助け得ぬ命……

そして、残された家族からの怨嗟の眼差しや罵倒に比べたら、そちらの騎士殿の罵倒など微風の如くです。

お気になさら…… ず…… に…… 」


姫の啜り泣く姿に、は続く言葉を呑み込んだ。

(この姫様は、心根の優しい御方なのですね )


(おっ!おぉ!!……やっぱり、あの姫様、良いねぇ! お友達確定! )

は彼女を、熱く見詰めていた。


「も、もう、この位にしませんかねぇ? 相棒も切れそうですし……

コイツが切れると本当に不味いんですよぉ!! 」

へとが縋り着き、涙目で焦りながら周りへと訴える。


(……お前! 相変わらず、器用な奴だな? ドッチが本音だ? )


(両方に決まってるでしょ? 何言ってんのよぉ )


「姫様のお蔭で落ち着きましたよ。 言葉を荒げ、申訳無いです 」

と、は頭を下げながら答えた。


は一拍置き、王へと向き直ると

「陛下。 では、改めて自己紹介からはじめませんか? 」

と穏やかに答えた。

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