第5話 よ…世迷言を抜かすな!

 数名の騎士がを睨むと、団長らしき者が言い放つ!

「よ、世迷言を抜かすなぁ! その様な言い訳を……

ま、まさか! お前は彷徨える死霊鎧リビングメイルでは無かろうな!? 」

と言い放つと同時に、腰の剣に手を掛けると、を怒鳴りつけた。


はフ~ッと、長く溜息を吐く。 

「まぁ、信じられないのでしょうが、正真正銘、これが私の身体ですので。

元は貴方がたと同様に人の身体でしたよ。


言っても判らないでしょうが。

私達の居た世界の敵は、貴方がたの想像を超えて強いのですよ。

人の身で抗うには厳し過ぎたのです。

人の身体は脆く、民衆を護るには脆弱過ぎたのですよ。

私は、より強き身体を望み、より多くの人々を護る為に、人の身を捨てたのです。


私の部下達もそうでした。

もっと力があれば…… と、より強き身体を求めたのです。

私の様に、全身を換えた・・・部下は居ませんでしたがね。


 この機械仕掛けの身体には、人の身である私自身の脳や心臓と言った、生命活動に必要な臓器が納まっています。

余り良い物では無いですが…… 必要でしたら、お見せしましょうか?

この身を持って人間と言えるのか? 

と、問われると……、自分でも判断し兼ねますが。

この身体になった事を、私は後悔していませんよ 」


その意味を理解したのか、複数の騎士達が同調し叫ぶ!!

「たっ…… 只の化物では無いか!! 」

「バケモノの部下も、またバケモノか! 」

「バケモノには礼儀も無いとみえる! 」


ビキッ!!! 


突如、部屋に破砕音が響いた!?

その音源へと視線を向ける。

良く見ると、の足元には、放射状にひびが入っていた。

はおどけた様に、いや、カラカイ混じりに応える。

「おっと、 少しよろけてしまった様です 」


そして、怒気を孕んだ声色で、騎士達へと告げた!

「礼儀…… ですか?

この世界にも、騎士道精神と言うものはあるのですかねぇ?


騎士道とは、敬神・忠誠・武勇・礼節・名誉、婦人への奉仕などの徳でしたか。

どうやら、 皆さんには礼節が欠けているようですが?


それと…… 其処の騎士殿、その手に掛けた剣を抜きますか?  

ただ…… 残念ですが、その剣では私を貫く事は叶いませんよ。 

この身体に傷すら付きませんが。

どうです、この腕を差し上げますが、一度試してみますか? 」


は半歩踏み出すと、その腕を騎士へと差し出しながら、おどけて答えた。


の背後には怒気が揺らめいて観えていたであろう!

辺りは静寂と緊張に包まれる……

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