第3話 流された川の岸から

 気がつくと、青空を見上げていた。

 まだ、頭がくらくらするが、体を起こしてみる。

 俺は誰かに助けられて寝かされていたようだ、体の下には荒い目の布がひかれていて、濡れた体のせいでシミが出来ている。


 少し離れた所には大きな川が流れている、それと……数人の人、人? 体のバランスは人なんだけど、毛が濃い、サルのようだ。


 俺が起きたのに気がついた様で、何人か近づいてくる。


 目がクリクリとして瞳が大きい、明るい体毛を生やしていて、色とりどりの前掛けのような物と、腰巻のような物を着けている、女性? なんだろうか。

 みんな、座り込んでる俺の頭より少し高いくらいの身長だ、たぶん俺の腰か腹くらいの背の高さだろう。

 愛らしく可愛いらしい印象だ。


 その人? たちは、こちらに向かって何か話してくるんだが、鳥のさえずりの様にしか聞こえない、なので何言っているのかわからない。

 でも、助けてくれたんだよな。

「えっと……助けてくれたんだよね? ありがとう」

 そう言って座ったままだけど頭を下げると、キョトンとしていたが、鳥のさえずりの様な声を出して、うなずいてくれた。

 ちょっと小太りのおばちゃんみたいのに、ポンポンと肩を叩かれたりした。


 その中の少し小さめの子? が、俺の手を引っ張ってきた。

 着いて来いってことかな? 彼女に手を引かれ俺は歩き出した。


 着いた先は、山の中腹にできた土壁に囲まれたかなり大きい集落。

 入り口には、武器を携えた兵士のような者、そいつらもぞろぞろついて来た。


 石畳の道、大きな石の石垣、土壁の家々、もっと原始時代な感じかと思っていたのだけど……、街角には、大きな陶器や金属で出来た壺のようなものや、金だろうか?装飾品をつけている者も居る。

 野菜みたいな物をうる者、燻製肉だろうか? 干物の魚らしき物もある、道具を売る者、露店みたいなモノだろうか? 。


 道行く人々は、こちらを見ている、そりゃそうだよな、ここの人たちの倍はある自分たちの姿に似てるけど違う様子の変なのが歩いてるんだし、そりゃ兵士っぽいのがついて来るよな。


 しばらくすると、高めの壁に囲まれた大きな屋敷が見えてくる、他の家が平屋なのに、3階建てくらいだろうか。

 入り口には、布と皮で出来た鎧を着て、槍を携えた兵士が居た。

 彼女が何か話をして、俺たちは広い庭に案内された。


 屋敷の中から、数人にを付き従えて、少し豪華な服を着た人が出てきた。

 彼女は、その豪華な服を着てる人に何やら話している、それを聞いてこちらを向き何やら言ってるその人。

 ぶっちゃけわからんが、頭を下げておく、それを見てうなずき返すその人。


 彼女が何かを言いながら、俺の手を引く。

「えぇっと、ついて来いってことかな? 」


 庭をしばらく歩くと、壁際に小屋のようなものがあった、小屋と言っても柱を立て木の皮のようなもので屋根を覆い、風よけに布で周りを覆った簡単なものだ。

 どうやら、ここが仮住まいらしい。

 入り口の布をめくり、中を見るとゴザの様な物がひいてあるだけだった。

 彼女は何か言って、ウンウンとうなづいている。


 あー、そりゃ、得体の知れないのを家の中に入れないよなぁ。

 何だかわからないデカイのを助けてくれただけでも、ありがたいんだろうけど。


 数人の人たちが、食事のような物を持ってきてくれた。

 パンの様な物(トウモロコシのような味がした)、野菜と何かのミルクのシチューの様な物(毛の長い牛のようなヤギの様な動物が居たから、その乳かもしれない)、果物の様な物、肉もあった。

 正直結構うまかった、腹が減っていたせいもあったかもしれないけど。


 腹が膨れたせいで、ウトウトしていると、俺をペチペチと叩きながら、小屋に入れと身振りで行ってきた。

 俺は、首を振り「ありがとう、お休み」と言ってから小屋に入った。

 言葉は通じなくても気持ちは通じるだろ、たぶん。


 体を横にして、これからの事を考える間もなく、すぐに眠りに落ちてしまった。

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