第20話 さんぷ おふざけ ちみつ
【性質変化】は、特徴を変化させる能力である。
セレスは、何か知らんけど色々できる、と考えていた。だからこそ爪楊枝が爪楊枝足らんとする最たる特徴、形そのものを変化させた。
「【性能変化】白煙より重い気体!」
ほんの一瞬で爆発的に膨張した
白煙に向け突き出したはずの【ギギ】は、気化した勢いの大部分でもって門に迫る白煙を飲み込み、一方で反作用によりケースごとセレスの鳩尾に食い込む。
「ぐぼぉぉっ!」
「うにに!」
セレスは吹き飛ばなかった。否、吹き飛べなかった。
素晴らしいタイミングでディアが抱き留め、踏ん張ってくれたから。
ありがとうディア……できれば後退しながら、が良かった、かも。少しばかり他人には見せられない顏になっていた私は、
口元を覆ったまま、現状を確認する。
門の向こうの【ギギ】に包まれ陥没した白煙は大丈夫、かな。くぐもった音とともに少しずつ沈降している。重すぎた?
門番さんも村人たちも鏡餅のような【ギギ】を見つめ、戸惑っているようだ。
どうやら村に被害は無いみたいだ。ほっと息をついた時、臭いが気になった。口をゆすぎたい……。
「セレス、すごい。ブワって!」
脇腹辺りから顏を出し、ディアが褒めてくれる。微笑むだけなのは勘弁してほしい。
手元から伸びた【ギギ】を回収しなければ、と地面に埋まっていく白煙を見ながら思う。
あ、陥没したのって誰か戻すの手伝ってくれるかな……。
――――――――――
「何よアレ。」
「小さくする、からの発想ですね。」
「する? 普通、粒子に。」
「楽しそうで何よりです。
「……食えないわね。」
――――――――――
被害
セレスの鳩尾ほか数か所
「ゲホ、呼吸すら痛い……。」
補足
エアバッグの衝撃の数倍で鳩尾を強かに打つ
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