魂の集め方

@Eucalyptus

epi 1. 世界を終わらせる話

 ″世界を終わらせたい?″


 どこからともなく聞こえる声に、彼女はとっさに頷いた。


 ″どんな終わり方でも?″


 もう一度問いかけが届いた。


「大雨で地面が沈んでも、地震で大地が二つになっても。ああ、世界が蝋燭の火のようにふっと消えてしまってもいいわ。」


 ″それいいね!採用!″


 ふーっと何かを吹き消す音がした。


 彼女の頬を一筋の涙が伝った。下がった眉尻とは対象的に、上げられた口角を目指して。




 --つい先刻まで彼女が居た場所で何かを拾う男がいる。


「アカシアの蜂蜜色で、随分と透き通っている。でも残念ながら欠けているし、角ばっているな。しかも内側にはヒビまで入っている。」


 彼は呟きながら石を太陽に翳す。


「ああ、でも虹が少し見えるね。希望が無かったわけじゃないのか、そりゃよかった。」


 そして懐に仕舞うと、どこかへふっと消えていた。

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