行き倒れを助けたら魔王の娘だった

 俺はクラウスと共に村の周辺のパトロールに向かった。

「この辺は魔物が良く出るんですか?」

「いや、普通の野性動物だな。狸、狐、猿、熊・・・・・・。主に農作物を狙って来るんだよ。」

「防止策はしてるんですか?」

「罠とか案山子とか針金を設置してるんだけどいたちごっこだな。俺が剣士になったのは動物から畑を守るのも理由の一つなんだよ。」

「えっ!?冒険者では無かったんですか?」

「そうだ。ミファが勇者に選ばれて無かったら旅なんて出てなかったぞ。」

 村の生活はそれなりに満足していたしな。

 俺の話を聞いてクラウスは「そういう考えもあるんですね・・・・・・。」て呟いていた。

 と、前に人が倒れているのを見つけた。

「おい、大丈夫かっ!?」

 フードをかぶっているが、女の子らしい。

「うぅ・・・・・・。」

「あれ?何処かで見た事ある様な・・・・・・。」

 ふと、尻の方を見ると悪魔の様な尻尾がついている。

「魔族か?」

「あぁっ!? 思い出したっ! この娘、魔王の娘ですよ! 他国を襲ったという事で手配書が出てます!」

 なんで魔王の娘が倒れてるんだ?

「とりあえず、村まで運ぶか? 城の方には報告はしない方が良いな。」

 俺は魔王の娘らしき少女を背負って村に向かった。 


 村に戻った俺が少女を背負って来たのを見てミファ達は驚いたし更に魔王の娘だった、というので二度驚いた。

「なんで倒れていたんだろう?」

「傷も所々ありますし・・・・・・。」

 と、少女が目を覚ました。

「こ、此所は・・・・・・、何処だ?」

「此所はマハラ村ていう所だ。お前は道に倒れていたんだ。」

「そうか・・・・・・。」

 と、ミファの顔を見た瞬間、ひっ!という声をあげて飛び起きた。

「命だけは助けてくれっ!」

 ガタガタと震え土下座した。

「ちょっと待って!? 私、初対面だよねっ!?」

「父上の様にはなりたくないっ!」

 「・・・・・・魔王が倒された現場にいたのか?」

「そうだ。父上を助けようと思ったんだが、光の速さでボコボコになっていくのを見て怖くて隅で震えたんだ。」

 ・・・・・・そりゃ震えるわな。

 ミファは軽く凹んでいた。   

  


  

 

     


 

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