第6話 オタクのラーメン

ヨメ「お昼できたよ~」


ヨメの声を聴いてボクは書斎を後にしてリビングへと足を運ぶ。

そこへヨメがトレイにお昼ご飯を載せてやってきた。


ヨメ「今日のごはんはこれです~」


そう言いながら机に置いたお昼ご飯はラーメンだった。


ダンナ「お、今日は袋ラーメンか」

ヨメ「うん、たまにはこういう家系ラーメンもいいよねっと思って」


ヨメの言葉を聞きながらダンナはラーメンを見やる。

ラーメンは基本形である醤油ラーメンで具材はお決まりのメンマとネギを始め

色とりどりなラインナップとなっていた。

チャーシューの代わりにカリカリに焼いたベーコンと豚肉、

ゆで卵にモヤシ、ミックスベジタブルといった内容となっている。


ダンナ「家系ラーメンと言ったらトッピングを自由にできるのも強みだね」

ヨメ「うん、お店のラーメンだと後からトッピングできるけども自分で最初から調整できないからね」

ヨメ「そうだね、だけどキミは結構トッピングはマシマシにするよね?」


ウチのヨメは肉食系でラーメンでも割と大盛を平然と頼む場合もある。

今日のラーメンも先に述べたように割と肉類の量が多いのだ。

無論ボクは好きなので別に問題はない。


ヨメ「だってラーメンと言ったら具も含めて味わいんだもん。まあカロリー気にするときついかもだけどたまには気にせず食べたくなる時あるからさ」

ダンナ「うん、気持ちは非常にわかる。美味しいものはもう少し食べていたいってのはよく思うよ」


じゃあいただこうと一緒に手を合わせていただきます、といった後、ラーメンを食べ始める。

味はシンプルな醤油ながらも麺が非常に美味しく感じた。


ダンナ「あれ、ボクが作る麺より美味しく感じる?」

ヨメ「うん、実は指定される時間より1分早く湯切りしたんだ」


ボクの疑問にヨメはそう答えながら半切りのゆで卵を頬張る。


ダンナ「なるほど3分間茹でると書いててもタイマーとかで測ってるときっかり三分で湯切りできる訳じゃないからね」

ヨメ「お店の人とかはしっかりそこら辺は技術で身に付けてるから早めにタイマーも3分になるように調整してるけど素人に近い私たちじゃどうしてもそこら辺は難しいからね」


確かにラーメン屋の人達はそれをほぼ毎日やっているのだから恐れ入る。


ダンナ「やっぱオタクになるとラーメンに対しても凝りたくなるね」


ラーメンを啜りながらふと思ったことをボクは口に出すとヨメも肯定するように

頷く。


ヨメ「わかる、ラーメンに限った話じゃないけども料理番組とかの料理見ていると無性に凝りたくなる」


ヨメはこれでも割と凝り性な性分で料理に関しても若干ながらひと手間加えたものを作りたくなる傾向がある。

そこは割と仕事にも反映されているらしく、少し自分のアレンジやオリジナリティな要素を目立ち過ぎない様に加えることもたまにあるらしい。

ボクは流石にヨメほどの凝り性はないがたまにその衝動に駆られることはあるから

こそヨメの凝り性には理解できる。


ダンナ「でもやっぱラーメン屋のラーメンはそのお店の特徴や雰囲気も感じられると思うのよね」

ヨメ「わかる、拘りとかも感じるよね。麺の形やスープの味とか」


そんなこと喋りながらも箸は止まらず、気づいた時には麺も具材も空になり、スープのみとなっていた。


ヨメ「あ、もしかしてごはん入れる?」


ボクのラーメンの丼を見てヨメはそう言ってきた。

人によっては賛否両論あるだろうスープに白米投入、これはボクが学生の頃からよくやってたことだ。

残ったスープに染みたご飯がとても美味しかったこともあってか家でラーメンをやる時は決まって〆としていた。

無論こういったことは外食ではやらないがやっぱり人にとってはあまり好きではないかもしれないが感覚としては鍋物におけるラーメンやうどん又はおじやの様なものという感覚もある(無論これも賛否両論あるのは自覚している)

ちなみに自分もヨメも家ラーメンの〆にごはん投入はよくやっている。

だけどこれに対して人目を気にするのか、どうかふとヨメに聞いてみた。


ヨメ「うーん、外ならまだしも家なら別に気にしないかな。だって料理って基本最後まで美味しく食べてもらう為だからね」


と言うとやるよね?と手を差し出したのでボクは流れるように丼を渡す。

その後、ヨメは自分の分を含めてスープの染みたごはんを入れた丼を持ってきた。


ダンナ「やっぱ〆はこうでないとね~」


色んな食べ方と楽しみ方ができるそれが家系ラーメンだなとボクは改めて思った冬の日でした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る