第13話 期末テスト

 梅雨の終わりが待ち遠しくなる頃、期末テストがやって来た。

これが終わるともうすぐ夏休み。ゆりは明日香まで走ろうって言ってたっけ。

テストの後はテスト休みになる高校もあるって聞いたけど、春高はそのまま授業が続いた。そして返ってくるテストたち。琴は中間よりは少し順位を上げた。


「コト、テストどうだったー?」 ゆりがやって来た。

ゆりは成績優秀と聞いていたのだが、何となく浮かない顔をしている。

「んー、前よりちょっといい位。ゆりは?」

「また落ちこぼれたよー。なんか悔しい。平均90なかった」

「はあ?それのどこが落ちこぼれなのよ?」

「ベストテンからの落ちこぼれだよー。あたしとしたことが、英語が足引っ張った」


なんだよ、こいつは。超優秀じゃん。勉強でも頭上がらないわ。

「ゆりとテストの話してると相場観が狂っちゃうよ」

「んでさ、それ忘れるために、パーッと走りに行こう」

何を忘れたいのか判らないが、走りに行くのはオーケイだ。パンク修理も習った事だし。

「明日香って言ってたっけ?」

「そう、明日香。あさって行けるかな。確か唯一のテスト休みなんだよね」

「はいはい、仰せに従いますよ。また駐車場9時でいいのかな」

「そう、暑いからさ、スポーツドリンクとかコンビニでいろいろ仕入れてから行くよ」

「うん、わかった。大変な事にならないようにしないとね」


しかしこの時、琴はまだ判っていなかったのだ。本当の大変な事を。

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