発見

あまめ

第1話 人類は死んだ

 人の死とは何を指すか?

 心臓が止まること?命がなくなること?

 私はこう考える、人の死とはすなわち、知ることを諦めたことを指すと。これ以上知ることは不可能だと諦めること、あるいは知ることを無駄だと考えること。

 そして生きるということは知るということであるとここに私は主張する。


「我々人類は全てを知り尽くし、これ以上知ることもない」

 人類のトップであり科学者でもある天野一あまのはじめは、そう発表した。人類は全知の域に達したと宣言した。




「人類は死んだ。滅亡した」


 中野第二新科学研究所にある第七研究棟の屋上で新野初見しんのはつみはそうぼやく。彼女はこの研究所のNo.2の地位にあたる人物であり、今までに数々の功績を積み重ねてきた。代表的な例として、「若返れ!私の体!」という論文の発表である。なんともふざけた論文だと誰もが思いながら読んでいた。だが彼らが論文に目を通していくうちに目つきは変わっていき、読み終えると誰もが称賛した。その論文が発表された当時、人間の肉体はそのままの状態の肉体を維持することは可能になっていた。だが維持のみで、昔の体に若返る。以前の体力や見た目に戻る、ということはできないでいた。しかし彼女は脳に特殊な電波を流し、脳に刺激を与えることで、脳に肉体の年齢を誤認させ若かりし頃の肉体の状態を維持させることに成功した。研究で実験を受けた肉体は、徐々に若かりし頃の肉体を構築し始め、数ヶ月後には肉体を完全に若返らせたのだ。この論文により彼女は評価され、今では世界でも有数の最先端技術結晶が集まる中野第二新科学研究所のNo.2の座に就いた。


 そんな彼女が今、人類の滅亡を宣言した。

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