一度、人を生き返らせてみたかった

日本国憲法第9条は、物語を紡ぐ創作者にとっては、誰もが最も避けるべきと考えている『忌み手』のテーマです。

なぜなら日本国憲法第9条は、全ての「戦争行為」という表現手段を禁じ手にするからです。

そして『争い』というものがはぶかれた物語とは、人の心には強く響かないものなのです。

それが日本国憲法第9条という法律が持つ文章の強力無比な力であり、また限界でもあるのです。

この作品は、その誰もが「禁じ手」で心に迫らないとする限界に挑んだ、勇猛で果敢な作品です。

さらには、私が自主企画で求めていた主旨をしっかりと理解され、作者さまらしさで表現してくださっている作品でもあります。

レビューの見出しにある言葉は、私が第9条の解釈で感じている言葉の中の一つです。

この作品は、その言葉を今持てる力で必至に表現しようとしていると力強く感じる作品でした。

人を蘇らせることは、人を殺めることよりも難しい。

この作品の物語は日本国憲法第9条が示す、数ある「平和」の中の一つを確かに表現しています。