音無しき国の王

倉野 色

prologue『始まりの白煙、そして火花。』

 ──ここに、文献を残す。

 あの日、空は一筋の棚引く白煙によって分断された。

 それは、花火のように美しくも儚すぎる閃光を世界中にばら撒き、両断された彼らと共に、誰にも見られぬまま虚空へと散っていった。


 ──こちら、廃退した惑星。ここに、文献を残す。


 そうして"あれ"は、消去法でかつ必然的に、音無おとなしき国の王となった。

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