貴方を幸福にするために来ました。すみませんが、寿命を売って頂いていけないでしょうか?

あんるい

リセットⅠ

 風はなぜ吹くのか皆は考えてことがあるだろうか?勿論、それに限らず日光、夜、人間などなど。数えたらキリがない事だが案外それらを考えるのは非常に楽しいものだ。なぜ風が吹くのか、答えなんてとっくの昔に出てる事だがそれでも自分の知識を絞りだして導く答えは当たり、外れどちらに行き着いたとしても結果的には楽しいものなのだ。たとえそれが当たってたとしても、不思議という不思議の中の1部を解いただけに過ぎない。逆に外れであれば、それもまた知識にもなる。


 だから、俺たちは何かを生み出すには考えなきゃいけないんだ。それは、きっと身の回りの物で解決できるのが殆どなのではないのか?と俺はそう思う。いや、そう信じてるのかもしれない。


 八月の頭、周りは夏休みで旅行やらデートやらで忙しいってのにどうして俺はこんな処で絵を描いてるのか馬鹿馬鹿しくなる。いや決して、描いてる事自体がつまらないよいう訳ではないんだ、ただ無性に腹が立ってくるんだ。だってそうだろう?俺がこうして絵を描いてるときに周りは楽しんでるわけだ。

「いやいや、そしたらお前も外出ろ」と嘆く人もいるが、ぶっちゃけ外にでても遊ぶものがないんだ。だからこうして絵を描いている。別に描きたいわけではない、人生という中の一部の暇つぶしに過ぎないんだ。それが偶々絵だったわけで決して意味はないのだ。


 12時を回り、初めて食をとる。こんな生活は、もう当たり前。朝にお絵かきをして夜にはバイト。


「疲れるよね。ホント。俺なんで生きてるんだろう」って思っちゃうんよ。もうこの年なら短大なら卒業してきっと社会の一人として貢献してるし。普通の大学なら3年生で就活の為に様々な会社の情報を集めて自分が活躍する貢献場を探してるに違いない。いや、そうに決まってる。なのに、俺は高卒で特にやりたいことはない。高校卒業後とある中小企業の工場に就職して2年目でやりたいことがあると叫んで、お願いしてやっと通った今なのに… 俺は何やってるんだろうって。


 そうだ、暇だし。寝てまた時間を潰すか否か。そう考えていた時には作っておいたお握りを食い終え、まぶだが静かに閉じていった。


 20:00時


 目が覚めた。何時間寝たんだろう。そう思って時計を見たらいつも通りの20:00時。「今日はバイトあるし、早めにでてみるか」と俺は風の流れと共に囁いた。


 そういう気分だった。男子ならあるんだよ。特になんていえばいいのか。こう、牛乳を飲むならあえて珈琲を飲む、JPOPを聞くなら洋楽を聞く。そうきっと中二病なのだ。

「おいおい、20歳で中二病は痛い」

部屋の出窓、ガス、トイレを一通り確認して靴を履いて外に出る。その動作に無駄はない。


いつもよりは荷物が少なめ。普段ならバイト先にパソコンを持って行って作業が終わり次第絵を描くのが日程だが今日は。必要ない。さっきも言ったがそういう気分なんだ。


10分ほど歩いた場所の自動販売機でコーラーを買って、少し長めの椅子に座る俺。ぷしゅー。音を見せびらかすかのように大胆に封切って飲む仕草はもうこっちまで飲みたくなるような....って


「何さっきからジロジロみて・・そんなに見たってあげないぞ」

小柄の女性が俺の横に座ってこちらを見つめてていた。

「だから、コーラーはあっ」

咄嗟に出た言葉だったが、上書きされるほどの声で少女がこういった。


「私がここに最初に座ってて、本を読んでいたの。そしたら、あなたが急に座り込んでぷしゅー。なんて耳元でやられたらこっちは、は?ってなるでしょ?わかる?」


驚きで声がでなかった。そりゃー、本読んでるところで...って、こんな真夜中で読む必要ないだろと突っ込みたい気持ちも山々だが急に腰掛隣でぷしゅーと封切った俺も悪いかも....

「いやいやいや俺は悪くないだろ。手元にコーラー、目先に椅子があるなら腰掛でもして飲みたくなるだろう」片手に持ったコーラーを少女に見せつけながらこう言った。

「では、それはそれとして私にもそのコーラーください。そしたら許します。ええ、さっきの事は忘れます」

驚きだった。このまま、ええそうですか?はいはい。ではそのコーラーという得体の知れない物を飲んでからどっかに消えてください。などいうのではないのかと想像してたが...

「お、おお、おう。そうだな。そしたらこのコーラーはお前にあげる。まだ一口しか飲んでないから大丈夫。おれ、もうすぐバイトだからそろそろ行かいといけないし。とりま、さっきは悪かったな。」と言って立ち去った。


そこからはあっという間だった。いつも通りの作業に接客。

気づいたら朝8時を回っていた。

「もう上がりか。店長、おれ上がりますね。夜勤帯でやれるところはやっときました。ではでは」


小学校などで、あるあるだが行きの遠足はとても長く感じるのになぜか帰る時は短く感じてしまう体験。もう玄関前だ。ドア口に手を添えて開けようとするとその中に見かけない靴が置いてあった。

「これ、町田にうってる100円ショップのサンダルだろ...」

何も見なかったことにしていつも通りに靴を脱ぎ、部屋に入った。

靴を脱ぐ強盗なんていないし、いたとしてもきっとここのオーナーさんくらいだろと思ったが....

そこにいたのは、白いワンピースに白い帽子、小柄の体系で片手にはコーラー


「胸は小さいんだな」

「なにかいいましたか?」

「いいえなにも言ってないです、はいないです。決して胸が小さいなどこれっぽちも思ってないです、ええ、もちろん」

「まぁ。いいですよ。私は一生ぺったこんですから」

「で、なぜ俺の部屋にいる?ここは俺の家だぞ。それともあれか前の宿主なのか?残念ながら」

「違う、私は貴方を幸福にする為にここに来ました。幸福委員会のものです」


時が止まった。もしかしたら、俺はネットサーフィンしてる間になにか契約を交わしていたのではないかと自問自答。

いやいやいやいやそれはないだろ。あるとしたら彼が電波だからなのではないのか?それともあれか、5月病という名の症状で頭がついにイカれたのではないのか…あっ、まさか遊び半分で登録した出会い系サイトで話し合っていた人...あれは俺の黒歴史の中の1つだが…いやいやいやいや、それは1年前だぞたかが数千円の為にここまで特定・・ん?特定...そっか...そこまでされたらもうやられるしかないよな。


「うん、わかった。すべて理解した。大丈夫だ俺は死ぬ覚悟はもうできてる」

「何か、勘違いしていません?私はただ貴方を幸福にするために来ただけですよ」

「それは天国にいけると言う意味合いで幸福と唱えているのか?」

「だーかーらー。違うって言ってるでしょ。あんぽんたん」

「私は、幸福委員会というもので、貴方はその委員会の中で選ばれた幸福対象者。貴方が幸福になれるようアドバイス役としてバックアップするのが私の使命」

「お・し・ご・と。なの!!」

頭がいっぱいいっぱいで整理が追い付かなかったが、まぁー俺はまだ生きれるという事はわかった

「あーわかった。大体は。でそれはどうするんだ?」

「基本的にあなたの、未来の行動はこの未来行動というノートにすべてが記載されている。そのノートに描かれた未来。つまり、不幸の出来事を幸福に変える簡単なお仕事」

「それは、俺にもみs」

「それは無理。貴方には未来を教えられない。それは決まりである。けど、まだ引き返せることはできるよ」

「それは、つまり幸福対象というものを拒否できるということか」

「ええ、その通り。だが、もしそれに賛成にするなら条件があります」

「あなたの時間、言わば人生を貰います。いいえ、売って頂く事になります」

「売ったら、いや、いくらほどになる」

冷静に考えてみろ、下手に返事して後々になって実はあと3カ月で終わりです。なんて言われたら最悪だ。ここは冷静になって慎重に答えていこう。

「そうですね。貴方の場合、37年程頂く事になります。」

「なんだ、それだけか。」

「いええ、逆に言えば貴方は残り今日までしか生きれないのですよ」

それには吃驚だが、それが本当とか分からない。実際にそれが当たっていたとしてもそれを保証できる人など存在しない。

「ですが、今日まであれば十分です」

「十分って、お前人の命を何だとおもってるんだよ」

「いいえ、そのための私。売った分を私が幸福にして、あなたの寿命を延ばすのが私の使命。仕事なのですよ」

つまり37年分の寿命、人生を売ってその仕返しに平たく言えばご奉仕してもられるのか..けど、どうなるんだ。例えば今日まであったとして無事幸福が続いたとして、明日を迎えたときそれは命綱なしで細いパイプを渡ってる状態なのではないか...

「なぁ、いいか。それって明日になったら余裕がないだろ。つまり、毎日幸福状態ではないといけないという事だろ」

彼女は驚いたのか遅れて首を振った。

「この、幸福向上メータ。通称H.I.Mという装置であなたの幸福。文字通り幸福を図るメーターで生きれる時間が確保できます。」

「なくなると」

「死にます」

「ですが、メーターは急激には減りません。亡くなるために、あなたの身の回り友人、親族、また趣味に関する出来事により変動します。最大10、何もなければ1日に5減るようにできてます。手持ちの最大量は人生をうった年数、つまりあなたの場合、最大が37という事です。」

「現時点では」

「37です」

「知りたければ私に聞いてください、その時にいつでもお答えします。」

「どうしますか、これらを聞いて契約を交わす気になりましたか?」

37って微妙すぎるだろ、もっと売れなかったのか俺は。けど、今のままではきっと絵を描いて、夜にバイトの人生。だったら明日死ぬかもしれないという緊迫した状態で進むのが一番。いや、これが運命なのかもしれない。


昔、本を読んだことがある。昔、話を聞いたことがある。


人生で困ってるとき。悩んでるとき。悟ったとき。それは突然と現れ「寿命を売れと」急に言われ「売った年数だけご奉仕する」といった昔ばなしを。


なぜそれを知ってるかって?それは、よくわからない。。けど、それだけ覚えてる。


「わかった、契約を交わす」

「うん、確かにその言葉受け取った」


その瞬間、柔らかい感覚が口を覆った。


背が低いのに、案外ジャンプ力あるんだな。


部屋にバタンと倒れる音が響く2人の跡。


彼女がこういった

「よろしくね、大船に乗った状態で私に背中を預けなさい。これは命令。」

「いや、その前にお前の名前を教えてくれ。」

「…冷夏」

「えっ?何?」

「日番谷 冷夏」

「可愛い名前だ。俺は、いや今はまだ、俺で通してくれ」

「は?なにそれ、なんていえばいいの?」

冷夏の手で押さえられてる状態で扉をみた。

「蒼空...空、そう、今は空で通してくれ冷夏」


ある人は言った、チャンスは待つものではない。チャンスとは組み立てた土台の結果なのだと。

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