　夕暮れの思路川（しろがわ）。

　遠い目をしたスーツ姿の男が、河川敷（かせんしき）にたたずんでいた。短い草におおわれた斜面に。髪型もあいまって、疲れて座っている会社員にしか見えない。

「やるしかないか。コウヘイとソウマじゃ、無理だからな」

　同僚（どうりょう）の名前がつぶやかれた。

　上着の内ポケットから、スマートフォンのようなものを取り出す。黒い。

　しばらく見つめた。画面には触れない。

　無言で元の場所に戻して、立ち上がる。影が長い。動き出した。

「こいつ、違う」

「力に善も悪もない」

　こげ茶色のロングコート姿の男性が、黒いベルトを取り出した。

　黒い怪人（かいじん）を圧倒する、赤い大男。

「知らなかったんだ！　こんな。こんなこと！」

　少年の頬を、涙が伝う。

　次回。

「怪人（かいじん）の正体（しょうたい）」

　ギアロード・ソーグはフィクションです。実在の人物や団体名とは関係ありません。

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