第20話 状態

 部屋の中は血まみれで、理久くんの死体で溢れていた。


 溢れていたという表現を用いた理由は、理久くんの体がばらばらに分解され、部屋のあちこちに散らばっていたからである。


 右足は大腿部からつま先までの一本繋がりでベッドの脇、左足はつま先から踝辺りまでが衣装ダンスの上、左足の大腿部から踝の上までは窓際、首が残った胴体とそれに繋がったままの完成品の右腕はそのすぐ横、残った左腕は一本の状態で枕の上に、それぞれ血にまみれ、衣服と一緒にバラバラ四散していた。


 けれど部屋のどこを見ても、頭は、頭部だけは――見つからなかった。

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