第9話引き換えに

一晩、豚箱の中にぶち込まれた後、釈放された。


俺は、焦っていた。

予定では、公爵の馬車を襲撃して、取り返すつもりだったのに、その公爵の馬車の行方さえも分からなくなってしまった。


今考えると、考えが浅すぎた。

なんの訓練も積んでない人間が職業軍人である護衛の騎士に勝てると思っていたのだから。


俺は公爵の領地を尋ねるために、冒険者ギルドに行った。


「すみません、公爵家の領地はどこにありますか?」


「こちらの地図に大まかな国内の領地の分布が書かれています。ご購入なさいますか?10000ゴールドです」


ちなみに、この国の通貨は、ゴールドという。通貨の額面の数字の価値はだいたい、日本と共通している。


俺は今、7000ゴールド持っている。

あと、3000ゴールドで買えるが、買ってしまうと、今日食べる食事にも困ってしまう。


くそ、時間が無いが、金を稼ぐしかない。


「すみません、お金がありません」


「でしたら、貴方のテイムされている新種のモンスターをギルドに提供してくだされば、代わりに、新種のモンスターを捕獲したことの報酬として、お金を支払いましょう。新種のモンスターは、死体は五万ゴールド、生きている状態で10万ゴールドです」


「て、提供します!」


こうして、俺は、地図の代わりに、足を失った。



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