全部ひっくるめてよんよんまる。

「よんよんまる」が何を意味するかは、音楽やってた人ならすぐわかるかも。
というように、本作、とっても音楽です。クラシック音楽あるいはまつわる用語がこれでもかと出てきます。不勉強な私は半分くらいいしかパッと頭に出てきませんでしたが、心配無用。知識があればあったなりに非常に楽しめるし、ないならないでもちゃんと楽しめます。そういう作りなんです。作者の力量の凄まじさってやつですね。

音楽はもちろん超重要な要素(エレメント)なんですが、この物語の真髄(エッセンス)はその秀逸にすぎる人間関係の描写にあります。音楽を通じ、音楽をきっかけに、人々が集まるわけですけども、ほんとね、この関係性というのが、実に憎い。憎いくらいに「絶妙な距離感」がある。その人間関係でグイグイと読者を引っ張っていく、まさに「魅せる」描写が非常に多い。

BL的な場面がギトギトしてないのもとても良いです。私は男で、いわゆるBLは苦手に属する人間ですが、本作は全然気にもならない。むしろ「いいぞもっとやれ」な気分にすらなりました。

私のイチオシは響ではなく、詩音……でもなく、花音です。頭が良くて美人で性格も良いとか、どこの女神ですかね。彼女の『距離感』も実に素敵なのです。だからこそのイチオシ。ただ、この主役級3名はどの人物も非常に魅力にあふれる「人間」です。人間書くの上手いなぁと、改めて思う次第です。

いいから早くドラマ化しろ、と、私は強く思うのです。
(私の中で)キャスティングもがっつり決まっていたりして……!

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