関係

竹下と中沢は手袋をはめると校長室を手当たり次第に弄り始めた。

中沢の目が、赤い。


「そういえば、お目当のものはなんなんですか?」

「殺人犯については馬場さんたちがやってくれています。

私たちはこの学校と警視・警察の上層部との癒着を暴くのです。」

「つまり……賄賂の証拠でも、見つけろと?」

「そういうことになりますが……」

竹下は鍵を取り出した。


「被害者の自宅の鍵と思われるものを、見つけました。」

校長のものだろうか。

カバンがひっくり返っていた。


「ここを探しても大したものは出てこない。

そう竹下さんは踏んだわけですね。」

「そうの通り。」


竹下は他と上がった。

「家宅捜査です。」

「あ、令状要りますか?」

「必要になり次第。ただ、被害者はどうも独身のようですよ。

ばれませんよ。きっと。」

竹下は校長の携帯を調べていた。


「なにか、携帯からわかりましたか?」

「 」

「竹下さん………?」


「きました!」

時間差で竹下が反応した。


「みてください、これ。」

携帯の通話履歴。


「これ………」

中沢はひどくゾッとした。

警察上層部のアドレスがずらり。


「ほら、特にこれなんか。」

竹下は一つのアドレスを指し示した。


「これは……?だれでしょうか?」

竹下は不気味に笑った。

「中沢くんとはあまり縁がないでしょうが……」


一呼吸おいた。

「警察庁長官ですよ。」


中沢はなぜ彼がこれをこんなに嬉しそうに笑うのか、全くわからなかった。

「その……嬉しいんですか……?」

「嬉しい、というかまあそういう感情でもありますが、楽しいじゃないですか?」

「ないです。」


「私は殺人の方から手を引いてますよね。」

「まあ、それは………殺人事件が楽しくない……と?」

「事件を解決するのはどれも楽しいです。

いや……………」


そう言って竹下は黙り込んでしまった。


なぜ?竹下さんは出世なんて嫌だって言っているのに……

なぜ上層部を陥れようとしているんだ…………?

中沢の頭の中をぐっるぐるした。


気づかないうちに竹下は廊下に出ていた。

「家宅捜査。しましょうか。」

「馬場さんにも伝えておきますね。」

「よろしくどうぞ。」


「なぜだ……やっぱあのひと、よくわからない……」

中沢は一人つぶやいた。


「事件を解決するほど楽しいことはないのにな………」

竹下は一人つぶやいた。

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