干からびたカエル

竹神チエ

第1話 それでも、読書をやめない理由 井上里=訳

デビット・L・ユーリン『それでも、読書をやめない理由』井上里=訳、

柏書房、2012  ISBN978-4-7601-4084-8


文芸批評・記者をしている著者の悩みは、最近読書に集中できないこと。その理由はインターネットにある? さまざまな作家や有名人が書いた著書を交えながら、読書とは何か? 文学は死んだのか? そういったことを考えていく本書。


正直、難しいところや長い思い出話は読み飛ばし気味でしたが、それでも印象に残った箇所がたくさんありました。その一部を抜粋。


(第一章 59ページ より)

”わたしたちが本を読むのは(少なくとも、わたしが本を読むのは)、話の筋の底にひそむものを見つけ出すためであり、挑発され、混乱させられるためであり、それまでの価値観をゆさぶってもらうためだ。〔中略〕 ひとりひとりの受け止め方はそれぞれ違ってよいということだ。物語とは、混沌に立ち向かうための装置であり、一連の可能な解釈を認めつつ、いつでも変わる可能性があると認めるための装置でもある。”


(第三章 87ページ より)

”フィッツジェラルドを引用したい。エッセイ集『崩壊』の一節だ。「本当の知性の試金石は、相対する意見を同時に考慮しながら、なおかつ自分に課せられた役割を果たす能力があるかどうかである」。”


他にも興味深い言葉が多かったです。電子書籍についても書かれてあり、中立な立場で論じているところに好感が持てました。著者がカクヨムのようなサイトをみたらどう思うのでしょうね。

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