このモフモフの真の意味を知ったとき、あなたの魂はきっと震えることだろう


 雪に埋もれる山里に住むラフィは、御使い様と呼ばれる巨大な獣の世話をする巫女である。里は、もうじき始まる十年に一度の祭りの準備でみなが忙しく、巫女であるラフィは初めて経験する祭に緊張していたのだが、そこへ里の外から招かれざる客がおとずれる。


 本作は、ありがちな冒頭から入って、後半意表をつく急展開を見せる。

 御使いとは、人にとって、神なのか悪魔なのか? そして巫女の役目とは?

 架空の世界を舞台にした物語であるため、民俗学といってしまうと齟齬が生じるかも知れないが、貧しい山村の、神を敬い、同時に神を恐れて生きてきた人々と、外から入ってくる外界からの異なる考え、価値観、そして科学と文明。
 緊迫したクライマックスとともに、胸を打つ展開。

 人はいつまで、神と生きることができるのか? いつから、われわれは神を捨ててしまったのか?

 胸にずきりと突き刺さる作品である。


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