竜巻警報発令


 ワクチン注射をしに獣医へ行き、まだ診察中にウーウーと大きなサイレンが鳴り始めた。

(トルネード警報)と(大雨洪水警報)だ。


 早く帰りたい。急いで会計のために受付に行く。空がどんどん真っ暗になっていく。なのに受付の人がずっと話をする。アメリカではレジや受付の人がおしゃべりということがよくある。この人はいつも手を動かさずに口が動くタイプだ。


 「ねえ覚えてる2年前だっけ?トルネード来たわよねー!このすぐ横通ってすごかったわよね、あ、車舞い上がって落ちた人ね、ケガだけだったのよ!すごいラッキーよね?ラッキーじゃないか?あはは~」と延々話してる。数年前にあった竜巻の話だ。かなり大きなトルネードでニュースにもなった。家からも近いこの獣医のギリギリそばを通って隣の建物を破壊していった。


 診察終わった先生まで出てきて「え?洪水も?私ボート持ってるから平気よ。がっはっは」って。先生、そういう問題ではないと思う。


 お支払いをして家に帰る途中で雨がバラバラ降ってきた。いかん!竜巻が来る前は大粒の雨が降りだし、雷が鳴り始める。黒い雲がどんどん空を覆っていく。お天気だったのにあっという間に真っ暗になり、ゴウゴウと風も吹き始める。


 きたきたきた~!!早く早く!!


 危機一髪家にたどり着き、キャリーを運び入れ、すぐテレビをつけた。地下室へ避難しようとすると、この地区の竜巻警報は解除になった。


 ほっと一安心したのもつかのま、今度はものすごく強い雨と共にピカーンドッカーンと雷が落ち始めた。今度は雷~?と思った瞬間今まで見たことのない強烈な白い光と鼓膜が破けそうな爆音が同時にした。聞いたことのないすさまじい音だった。すぐにまでする。


 最初は近くの木に落ちたと思ったれど、あれは家に落ちたと信じている。


 多少のことには動じないけれど、さすがに腰が抜けそうになった。


 2階に駆け上ってきたチャチャをひっつかんで「地下室に行くよ!コタローも連れてきて」と叫ぶ。しかし、よく考えたら雷なので地下に行かなくてもいい。もっと言えば、もう落ちた後だし遅すぎる。


 竜巻に備えて地下室を作ったけれど、雷が落ちるとは想定外だった。天災は忘れたころにやってくるというけれど、嵐と大雨、雷と竜巻は1年に1回はある。つねにペットと一緒の避難を考えておかないといけないと強く思った。


 そしてチャチャもコタローも、もう少し体重を落とさないといけない。病気が心配なだけではなく、いざという時に私が2匹抱えて走れない!!


 病院へ行くのも夫と一緒に行く。8キロ超えのキャリーを両手で運ぶのは大変なのだ。


 犬も飼いたいなーと常に思っているけれど、大型犬はどうすればいいのか?おんぶして避難するんだろうか? 洪水の写真で見たことがあった。


 ペットは家族。避難訓練と避難計画もきちんと立てなければと思った。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る