第1話 プロローグ

 「ようこそ クレナイ レンさん」


 僕は白い世界で朝を迎えた。左手に握っていたスマホの画面を見ると朝の5時と表示されている。

 とりあえず寝転んでいては始まらないのでムクっと起き上がる。


 さてまずは自己紹介をしておこうか僕の名前は|紅(くれない) |蓮(れん)。中学生なのに校門すら見たことがないtheニートだ。朝起きずに夕方に起き、ゲームにアニメにマンガを貪る。そんな人間だ。


 そして朝起きたら白い空間だった訳だがどうせ夢だろうと勝手に見当をつける。夢だとわかったらやることは決まっている。持ち物の確認だ。サバイバル系のゲームでもまずは持ち物の確認をしないと始まらない。

 ポケットやら何やらに手を突っ込んで今持っている全てのアイテムを白い地面に並べる。

 あったのは家の鍵と財布とスマートフォンと振ったり太陽光に当てたりすると充電出来る万能充電器だ。あと日記もあった。手のひらサイズで分厚さは5センチくらい。意外にも僕は日記を毎日付けている。未だに続けられている数少ないものの1つだ。


「そろそろ無視するのやめてもらえますか」


 女神がそう言った。

 そう女神である。アニメやマンガに出てくるような神々しいオーラをまとい白くてふわふわしてる服を着て左手に錫杖を持って浮かんでいる女神がそこにいた。


「やっとこっちを向いてくれましたね。では気を取り直して。

 ようこそ クレナイ レンさん。私の呼び掛けに応じてくださりありがとうございます」

「ちょっと待った、呼び掛けに応じたつもりもないし」


 僕はビシッと女神の右手を指さす。


「何で人形に喋らせてるんだよ」


 女神の右手には口をパクパクさせられるピエロの人形がいた。


「何か変ですか?」

「ピエロがですます口調だと違和感が凄いんだよ」

「ではこれでどうですか」


 ピエロの帽子の色が赤から黄色に変わった。

 なんか凄いことをやったのはわかったが、


「ピエロが間違いなんだよ。姫様の人形ならあってるのに」

「そうですか」

「それがわかったら早く姫様の人形を持ってきて、ほら早く」

「もう持ってますよ」

「えっ?」


 女神様の右手を見ると確かに姫様の人形になってる。

頭にティアラを乗っけたドレス姿の姫様だ。

 へーやっぱりここでも姫様といえばこんなのになるんだな。


「いえ、あなたの記憶から探しました」


 そっかーそうだよな、そんなテンプレを女神様が知っているはずがないよな。

 って記憶読まれた?


「いえ、顔に出てたので」

「そこまでわかるわけないでしょ」


 やっぱり女神様は何でもできるのか。

 胸が小さいのに凄いんだな。

 ズガーン!!


「あっぶね!」


 雷が落ちてきた、というか女神様の頭から出てたような、って女神様の顔が怖い、般若みたいになってる、めっちゃ睨んでくる。そんなに胸が小さいことを気にして ズガーン!! また雷が降ってきた。


「すいませんでした。もう変なこと考えないのでやめてください」


 こういう時は土下座に限る。


「これから女性の前でそんなことを考えるのはやめた方がいいと思いますよ」


 女神様が不機嫌そうな顔でそう言った。

 うん、やめよう。きっぱりとやめよう。すごく怖かった。アフロヘアーになるかと思った。

 あれ?そう言えば何でここにいるんだっけ?




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