――それでも、そんなお母さんでもいてくれたらよかった

 クリスマスイブの夜、一週間限定で母を蘇らせる物語です。
 母と上手くコミュニケーションをとれない「僕」の、何の変哲もない日常が描かれています。
 無邪気な母と、それにどう反応したらいいか分からず困惑する僕。淡々と日常スケッチが続いていきますが、それだけで何故か、泣きそうになってしまいます。
 静寂の中に垣間見えるやさしさ、終始そんな気配を感じ取る巧みな文章遣いが光っています。
 最後まで優しく、暖かい。これはそんな物語だと思います。