第十五章 ほぞを噛むの日々

 僕は情けなかった……。

 ナッティーを置き去りにして逃げ出した自分が許せなかった。

 こんな意気地なしで、弱虫の自分を堪らなく嫌悪していた――。


 僕のパソコンは断末魔のナッティーを映したまま、フリーズしてしまった。

 何とかしようと、あれこれ僕の知りうる限りのパソコン知識でやってみたのだが……まったく画面が動かない。奥の手で、ctrl+alt+Deieteを押すと、タスクマネージャーがでてきたので、そのページだけを消去しようとしたが……何度やっても消えない。不思議なことに電源を落としても、その画面は消えなかった。


 こうなったら、リビングのデスクトップから『モンスターランド』へ侵入しようと試みたが、自分のIDとパスワードを打ち込んでもマイページがどういう訳か開けなかった。仕方なく新規会員登録をしたが承認メールは、いくら待っても送られてこない……。

 どうやら……何者かの力で僕は入れなくされているみたい。これじゃあ『モンスターランド』に戻って、ナッティーを助けることもできないじゃないか!


 ――ほぞを噛む思いだった。

 あの画面は動かすことも、消すこともできないままに、ナッティーの無残な姿を映している。まるで僕の無能振りをあざけ嗤っているかのようだった。

 秋生の無念を晴らすために、僕らは罠に嵌めた犯人探していたんだ。ナッティーは自分から、かって出て協力してくれたのだ。ある時は瘴気に当てられて気を失いながらも、健気に頑張ってくれていたナッティー……。そんな彼女を身捨てて僕はひとりで逃げだした。いくらナッティーが逃がしてくれたとはいえ……自分は卑怯者だ。

 その画面を見る度に悲しくて、悔しくて、情けなくて、ナッティーにびながら、僕は涙を流していた。

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