転生したら海だった

黒猫ブロイ

第1話 えーー! 海?

ちゃっぽん、ちゃっぽん、ちゃ・・・・


海だ、海だね、そう海だ、やっぱり海だ


「ステータス・オープン」


名前:無

種族:ノーム族

職業:海

属性:水

HP:測定不能

MP:測定不能

スキル:農業:漁業:林業:猟師:採掘

魔法:水


ほら海だ、海がどうしたって?

そりゃあ自分が海だったら、だれだって驚くだろ、うん海だ。


ちゃっぽん、ちゃっぽん、ちゃ・・・


 もはや数時間前なのか数万年前だったのか、曖昧なのだけど

元勇者だった自分は魔王に戦いを挑み、あと少しで勝てると思ってつい無理をしてしまった。


 戦略的撤退も考えたけど、後一太刀あびせれば倒せるじゃないかと、まあ魔王の今にも倒れそうな演技にまんまと騙されたわけで、魔王の必殺技のブラックなんとかサンダーなんとかってやつで、もう殺された後なんでどんなスキル魔法だったかなんてわかんないやつでズバーッと。


ちゃっぽん、ちゃっぽん、ちゃ・・・


そしたら死後の世界で【世界の管理者】って名乗った、お姉さんが同乗してくれて

「次の転生はできるだけ希望を聞いてあげますよ」ってことで

「もう戦いたくないので、まったり生きたいです」って言ったら

お姉さんが「戦闘民族ならサ○ヤ人で、戦闘から一番遠いのがノーム族かな」


 結局話し合いでノーム族に、スキルは農業:漁業:林業:猟師:採掘、を付けて転生できることに。


そして転生してみたら・・・職業:海・・・なんで?

もーぅ、見事なお姉さんの土下座、完璧なピシッと決まった土下座姿が目の前に。


「申し訳ありません時間設定を35億年ほど、ミスしてしまい、出来上がったばかりの星に転生させてしまいました。」


 全世界を数千億年いや数十兆年単位で管理するお姉さん達にとっては35億年は誤差範囲なのだそうで。

この時代の星に転生しても、まだ海か陸か空しかなく、一番生命体に近い海になったらしい。


 後35億年たてば知的生命に満ち溢れるらしいなのだが。

この星系の恒星は500億年、この惑星は300億年、そして海は後180億年存在するらしいので「海としてこのまま180億年過ごして欲しい」とお願いされた。


 「えーー、今からノーム族として35億年後の世界に転生できないんですか?」と聞くと。


 「一度、海に魂を入れてから、また魂を抜くと、もう海は活動を停止してしまい、生命を生み出すことがなくなってしまうんです、ですから、このまま海としての人生、いえ海生を全うしていただきたいんです。」と、また綺麗な土下座を決められてしまう。


 こうして自分は押し切られてしまった。

うん、まぁ海もなってみると結構まったりできるし良いかもしれない、と自分に言い聞かせてみる。


吾輩は海である名前はまだ無い。

ちゃっぽん、ちゃっぽん、ちゃ・・・

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る