第4回カクヨムWeb小説コンテスト(SF・現代F部門)


 皆さんこんにちは、あさかんです。


 前回の異世界ファンタジー部門に引き続きWebコン4の特設メッセージを部門別で考察及び解説をしていきたいと思います。


 今回はSF・現代ファンタジー部門ということで、さっそく考察に移りたいと思いますが、まず初めに何故2部門がくっついているのかを説明致します。


 以前はSF部門として独立しておりましたが、応募数が少なく受賞無しも見られたことから部門の再編成に合わせ現在はこのようになっております。ホラー・ミステリー部門なども同様ですね。


 そもそもファンタジーとSFの違いがしっくりこない方も多いと思いますのでざっくりと説明しておきますが、理屈っぽく説明すれば細かな違いはあれど、ほぼほぼ同じものと考えても致命的な間違いにはなりません。むしろ、Webコン4ではファンタジージャンルとして異世界と現代しかありませんので、地球をベースとしたファンタジーで古代や未来の設定であればSFに振り分けるしかないでしょう。後は宇宙規模でのストーリーも同様です。まあ、それくらいの認識でOKだと考えます。


 認識はそれでOKなのですが、Web小説でSFジャンルはかなり向いていない傾向にあります。もちろん競合もいないのでクリティカルな作品が出来上がれば一気に火が点きますが、そもそも現代社会要素があれば現代ファンタジーに設定することが多く、現代要素が無いものや科学的な物語ですと、どうしても気軽さに欠けてしまう分、その敷居の高さに敬遠されがちになる部分があります。


 作者自身の認知度が高いとか、応募作品が他のサイトなどで既に読者がついているなどの優位な点が無いと同程度のクオリティーで現代ファンタジー作品群と争うとなると読者選考で足切りになってしまう懸念もあるでしょう。



 余談が長くなりましたが、それでは特設メッセージの考察にまいりたいと思います。


『リアリティとファンタジー要素のバランス』


 これは現代ファンタジーに限ったことでは無いですね。超能力が一般化した社会において、それの悪用を取り締まる警察組織や、治癒能力が存在した場合に病院などはどのような体制になっているのか?など作品の特異な設定により社会にどのような変化がもたらされているのかを世界観としてきちんと構築できているかが重要ということでしょう。


 ただ、実際にこれらを表現しようとすると、ストーリーに関係ない説明文が多くなりがちですので、ストーリーの進行にあわせてその都度その状況に必要な説明を入れる程度にしておいた方が安全とも言えます。若しくは超能力が一般化した社会に拘るのではなく、主人公と少数の登場キャラにだけ選ばれたものとして超能力が使える物語にして、その他全体はあくまでも現代社会をモチーフにしておいた方が無難かもしれません。


 解り易い例をあげるとすると『ドラえ●ん』でしょうか。本編は現代社会がベースで特異な部分はドラえ●んだけですので、複雑な設定は不要ですが、ドラえ●んが一般的にありふれた未来の話にリアリティーを持たせて書こうとするとかなり難しいです。そもそも『このウソ●ント』という未来道具がある時点で、社会構造の全てが破綻してしまうわけですから。


 ですので、リアリティーを無くしてしまわないために、不用意に大風呂敷を広げないというのも一つの手ではないでしょうか。



『その世界を知らない人でも楽しめるような作品』


 これは簡単に見えてかなり難しい部分でもあります。例えば今だからこそリアルなロボットものでも比較的受け入れやすい世代となっていますが、『ガ●ダム』がその世界観を世に定着させるのにそうとう苦労したのは有名な話です。魔法を使って魔物と戦うというファンタジー設定も同様で小説やゲーム、映画や漫画など先代のクリエイターたちが必死に築き上げてきた世界観です。今までにない特殊な設定を用いるのであれば、十分に選定して、9の常識に紛れた1つの非常識といったように、あくまでも読み手に伝わり易い世界観をベースにして、その中で特殊な設定を構築すべきだと考えます。



 ここまででかなり文字数を消費してしまいましたので、後はサックリ行きたいと思います。


『新しい王道を形作る』に関しましては、後発の作家を牽引するほどの力をもった設定の作品を作り出す必要があります。例えば『涼宮ハ●ヒの憂鬱』という作品が世に出たあとは、こぞってトンデモキャラヒロインを用いた作品が列挙しました。ここで難しいのは『新たなもの』ということで今までに無い奇を衒った作品でありながら『王道』として認められるのには、他作者が真似しやすいシンプルさを兼ね備える必要があります。すなわち、どんなに斬新且つ面白い設定でもそれが複雑で他作者が容易に模倣できないのであれば『王道』になり得ないのです。


『未来の読者が本屋で自分の作品を手にとることを意識しながら取り組む』は、タイトルや表紙から面白さが伝わりやすいものである必要がありますね。


『読者に近いプロフィールをもった、感情移入しやすいキャラクターが活躍する物語』などは、老後を穏やかに過ごす老人の内容の話を若者に感情移入させるのは無理からぬことといったように、興味や感情の在り方を読者に照らし合わせてながら構築していかないと共感が生まれません。



 最後にとても興味深いメッセージがございましたのでご紹介します。


『沢山のキャラクターを扱いたい、あるいは特定のモチーフについてご自身に熱烈な愛がある場合、擬人化は強力な選択肢の一つ』


 小説で一番難しいのは沢山のキャラクターを読者に区別させることです。例えば学園ものでクラス全員30人をいきなり登場させようとしても、読者からすれば誰が誰だかちんぷんかんぷんです。その点で擬人化というのは既にキャラクターの元となるものが存在している分キャラが定着しやすいのです。戦国時代モノで織田信長などの武将キャラを一気に出しても、そのキャラが既に認知されているので読者が混乱しないのと同じ理屈ですね。擬人化でストーリーを作るのは難しくても、その設定を見事構築できてしまえば逆にキャラ設定は容易になるはずです。



 今回も色々と書かせていただきましたが、SF・現代ファンタジーは創作物としてどんな設定でも飲み込めるほど懐の深さがあり、オリジナリティーを出す要素としてみてもまだまだ未開拓な部分がいくらでもありますので、皆さん是非この部門にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る