井戸に声

井戸の中、目が覚めると

、いつも外に向かい

おい

     声をかけるが

     覗き込む先に

     は誰もいない

     それでも僕は、

           誰かいる

と声をかける

誰もいないのは、

井戸の中の僕の中、

鼓膜につづく一本の線、

それを震わす氷点下のとげ

     咎

僕に罪を具現化

させる為に訪れ

た冬であって辛

辣な吹雪の中か

らひとつひとつ

雪の結晶を摘む

、それこそが僕

の罪であると知ったとき、こ

わくなって逃げだそうとした

が、それは容易ではなく、逃

げ出すまでに長い年月を要す

るのは、必然であったのだと

確信したがそれはもう後ろに

まで近寄ってきていたのだ。

     誰かがいたと

     、今でも、信

     じていて、そ

     れは過去に一

     度、そこに、

     井戸の底に、

       僕

     を見たから。

          底にいた

          のは間違

          いない僕

そこは僕をしっかりと締め上げる

井戸の底から見上げる時の僕の空

まるく縁取られてしまった空の底

未来はどちらの底に束縛されるか

咎はいつまでも僕を離しはしない。

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