はじける

すきまに愛を詰めて、ぎちぎちになるまで声を詰めて、性を詰めこんで終わりを詰めこんで、たえきれず

ぱーん

 散 り散   り に   、

は ↓じ ける  、未来  

を みる 瞳 は、 僕の すぎ

て ゆ く、という  よ り

は、きえ  る か   らだ 

 へ 僕  が与え た  光  

明千← の  路。   過 去

に   から ↑  まる そ

  の   はるか  →さき

 に 響く  声   を 聞け

ば   しんしんしんしんしんじ。


こころなし、うつむく。

いつもなら、すぐ来る。

それでもと、うずうず。

どうしてか、ぐるぐる。

それならば、それなら?


↑天真爛漫。乱れる心情と家庭の亀裂の根を隠すかわいい蒲公英。ふわりふわりと飛ぶ毛。ケサランパサランは幸せの象徴と言ったのは僕だけれど、それは君にとって何になるかなんて考えもしなかった。僕は蒲公英の毛を毟り取って地面に落としてしまうかもしれないと思った。だけど、君は蒲公英。僕の心配を余所に、ふわりふわりと風に乗って定まらずに、いまだ定まらずに、余所へ余所へと幸せ運ぶケサランパサランに見える。幸せを求めるあまり、幸せを与える。余所者に蒲公英の路を与える。余所者は毛を飛ばしながら歩いていく、前へ前へと、後ろに咲く蒲公英が飛んでいる事を知らないままで、それは、地面に落ちて、新たな生命を宿す事を、余所者は知っていて知らないふりをしている。僕もその一人だと知らないふり。でも、一つだけ、君を、ポケットに忍ばたこと。僕は知っている。


↓日和見。僕にとっての彼女は日和見。堆く積み上げたものを、崩すのはモラル。さらっていく心は、架空の家庭。崩れたものの上にある食卓。そこに立つ僕の道化は、凶暴に観客をもてあそんで、彼女は、それを良しとする事で、道化を優しく包み込み、全身で、満たす。そして満たされる。儚いものほど、強く存在を刻み込む凶器となる。病はからだに、こころに、残す。傷痕はふかく、ただ、侵食は浅く。それが暗黙の条件となって、昇華していく様は醜悪であるのに、そこに 人 の本質を垣間見てしまうのは、僕も彼女も逸脱してしまっているからだろう、誘惑に。侃侃諤諤を謳う滑稽な道化と、愚直な日和見主義者の融和に。もう会う事もない、祈りに似た、誓い。僕は知っている。


←ドリーマー。未来を見るひとみは、マントルから溢れ出る、熱量を発散させながら、知らぬ間にあなた自身を纏いつづけて、蝸牛より遅く、放射する熱を、僕は離れて逃げる。惹起する軽率。一糸まとわぬ心。声は嘘を垂れ流すスピーカー。開いたまどから飛びだすファンタジー。キャリーバッグの中を満たす、それだけは真実の声。僕があなたに、旅に出てみなよ、と言ったのは、あなたの世界から僕を追い出すための口実。もともと僕の世界に、あなたはいない。あなたは、夢。夢を見るあまり、あなた自身が夢となるのは、必然ではないだろうか。僕は覚める。ドリーマーの夢から、覚める。それも、また必然と、言い訳があなたの背中を押す。僕は知っている。


→遅すぎた真実。届かない好意は、届く距離にありながら、侵略する悪を押し付けるだけの、傲慢であって、かのじょもまた、僕を許容する無垢であった。その無垢がまた、悪と僕は逃げる。いや、逃げるふりをする。いや、逃げるふりもしない。かのじょとの時間は、真実という概念。今は離れてしまった、かのじょと僕をつなぐのは、財布の中に残された、あの日への鍵。外国の硬貨で擦れた鍵は、薄く、それは、僕自身の軽薄を具現化しているというのは少し感傷的すぎるだろうかと、問う相手は、いない。問うには問題自体か問題であって、それを伝えるのは恥でしかない。手のひらに持つ端末で繋がるのは、真実ではなく、それは、ただの傲慢と軽薄によって生まれた、空虚であるのだ。僕は知っている。


散らばった、それらを、再び詰める。

耳に口に脳に心に性器に。

また

ぱーん

そうやって、はじけるのを、僕は知っている。

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