世界を疑うという神話。

ダークファンタジー、ハイファンタジー、さまざまな形容があろうが、手っ取り早くこの物語を表すならば、神話という語を用いるのがよかろう。

作者による特有の語感を駆使した深淵の世界は、踏み入れた者に脱けだすことを許さない。

世界を疑う。そのことが、やがて世界のあり方そのものについての猜疑と、個我と衆がもたらすレバレッジへと注視点を誘う。
そして帰結するは、やはり個の意思へ。

もはや神話。
北欧神話をベースにした描写や語彙が表れることは誰にでも知れようが、その神と人の心と魂にまで筆を至らせる当作、秀逸と言う以外に賛辞の仕様もない。

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