第12話:邪神との最後の戦い

倭子の提案は聞き入れられた


学園は一時閉鎖、全員に訓練が言い渡された

戦闘組と

防衛組み

治療組に分かれる


やはり邪神との戦いは怖い

恐怖に耐えられない者は力が有っても戦うのは無理だと思う

そこで別れて訓練を始めた、国城と倭子とSクラスの面々で指導を始めた


今まで治療をしたことが無い、皆出来ない物だと思っていた、魔法の組み立てはこの世界では少し特殊だったからだ。

倭子の指導の元、治療魔法の指導が行われていた。


「渡辺様、これでよろしいでしょうか?」

「倭子で呼び捨てで、敬語要らない!タメでしょうが!」

「しかし、ロベルト・ガイフィールド公爵にタメ口など」

「いや!今はロベルト・ガイフィールド公爵じゃないから!」

1年A組の女子生徒が騎士の礼をするのを辞めてくれない、困っている倭子だった


指導は上手く行っているのだが、こういうやり取りが至る所で・・・

一番困ったのが

「マーガレット・シュレーア公爵令嬢の娼館に行かせていただいた事が・・・・」

がしっと頭を掴むと

「それは忘れろ!」


そこに、ホケ―としている男子が居た。






「倭子!?何か隠してない?」

指導が終わり、部屋に帰って来ていた、

国城も一緒に部屋に入るとそう聞いてくる。

「話せない事もある、それは必要な秘密だから」

「私にも?」

「ごめんね」

「・・・」


膝の上に乗り、腕を国城の首に回す。

見つめ合うと自然と唇が重なった。


「誤魔化された」

「いや?」


「こんなに女性に弱かったなんて自分が新鮮だよ」



国城とは一線を越えては居ない、

倭子はまだ16歳、大事にしたいと国城は思っていた。

国城は両思いだと確信していた、でも倭子は何かを隠している、それが不安でならなかった。


倭子は、国城のことをやはり好きだった、一線を越えてもいいと思えるほど・・・でもそれは言わない、言えない・・・だっていずれ倭子は・・・・







夜公園のベンチで星空を眺めていた

「・・・・」

頬を涙がつたう

「ああぁ、綺麗だな!」

自分を慕ってくれる生徒の顔が浮かぶ

「前世のせいだけど、慕われるのは嫌いじゃなかったんだな」

見つからないようにびくびくしてたのが馬鹿みたいだと思った。

「辛いなぁ・・・」


「何が辛いんだ!?」

「!?浅水・・・そっかここ学校じゃないからか」

「倭子ちゃん」

「何?4人して」


「そっか・・・思い出したんだ私が言ったこと」


「・・・・居なくならないで」

「うん、出来るだけもがいては見るよ」

「倭子・・・」

「私が居なくなっても後を追ったりするなよ、浅水に宮本!お前ら私に依存しすぎ!自分で命絶つと転生の輪に乗れなくなる可能性がある、またこうやって会うことも出来なくなるからね」


4人は複雑な顔をしていた、そのまま黙って 夜空を5人で眺めた。







倭子は分身を2体呼び寄せていた。

「ビシビシ感じる、来るね」

分身はじっと倭子を見つめる、そして

倭子の頭を撫でて抱きつくとそのまま倭子のなかに消えた。

も一人の分身も抱きつくとそのまま倭子のなかに消えた。


「ふぅ~力が湧く」


負の感じは精神に来てはいないようだ。

安堵しながら、朝を待った。




朝、倭子はアイロンのかかった制服に袖を通し、気を引き締めて学校に向かった。


「あれ?渡辺・・・何か変わった?」

「西田!?・・・・そうか?私は私だ・・・」

「?何か変だぞ・・・」

「お前は何故がぶれないな」

「ま、おれは前世でお前と関わって無いからな、俺みたいなやつは結構冷静だぞ」

「ありがたいよ、」

西田をじっと見て倭子が言う。

「西田、お前はそのままで居てくれな」

「なんだよ!気持ち悪いな・・・」


倭子は廊下を歩く


サイレンの音が鳴り響く


倭子は邪神出現の放送で右往左往し始める生徒達の間を歩く。

倭子は周りの声が聞こえてない様に、静寂の中に居た。


(ああ~最後の戦いだ)


<<<<きゃあー!わぁ!いやぁ!どうすんだよ!死にたくない>>>>











移転魔石を使い戦闘組が先に邪神の降り立った孤島に到着した。


「地球自体がこの場を選んで誘導したってのは凄いよな」

Sクラスの男子生徒が言う

「数年前に噴火した火山で出来た島か、岩だらけだ」

「邪神!?思ったより小さい」

「いやぁ・・・20メートルの化け物を小さい言うかな・・・」


Sクラスは冷静だ

他のクラスの者達は初戦が多いため震えているものが殆どだった。


「連携!忘れずに行くよ!」

倭子が叫ぶ


「「「「「はいっ」」」」」


一斉に戦闘が始まった

戦闘は、邪神の異世界から延びているしっぽのような物を、こちらの世界に完全に取り込む空を飛べる部隊と、本体を攻撃する部隊に別れ、4交代で休み無く攻撃している。

島の周りには空母や駆逐艦が並び、船からの波状攻撃と交代要員の休憩所となっていた。


邪神にはこの世界の普通の武器、ミサイルや銃弾は一切効かない、何らかの属性魔法を弾頭に付与すると少しは効くので、援護部隊としての役割をどうにか果たしていた。


「1週間か・・・・」

「死者は120名、におよび、生徒の指揮が落ちております。」

「子供に頼らなければいけないのは辛いな」

そう総司令官は嘆く


「3000人いるんだ、120人くらい・・・」

ぼそっとそう参謀本部の端で控える軍人が言った

”榊原(さかきばら)”

倭子が<勇者アーサーの聖剣エクスカリバー>と<勇者カインが倒した魔王の魔剣グラム>で脅した前の総司令官だった。



「司令官!尻尾が落ちました!」

通信師が叫ぶ

「!そうか!よくやった!総攻撃だ!全員出れるか!?」

「・・・直ぐ出るそうです!」

「カメラは幾つ生きてる!?」

「200中120はまだ生きてます」

「世界を救う子供たちの映像を残しておくんだ」

「はい!」


船からの 攻撃と前線部隊の残った戦闘力全てをかけた攻撃に、無限に近かった邪神のHPが減って行った。



邪神のHPがもうすこしになった頃、HPの減りが止まった。


「どういう事だ!」

司令官は焦る

「渡辺様より通信です」

「倭子殿か!?」


「司令官殿船を1キロ程遠ざけてください、そして能力の無い物は島から退避お願いします。」

「どうするのだ?」

「最終攻撃を行います、嫌ですよねぇ、何のスキルか解りませんがこれ以上HPが減りません、スキルを打ち破る魔法を展開します」

「・・・大丈夫か?君は殆ど休んでいないだろう?魔力も少なくなっている聞いている」

「大丈夫です!」

「分かった」


倭子の指示どうり、島にはSクラス以下戦闘部隊のみが残り、邪神を囲みずっと攻撃している、すさまじい回復力で攻撃を辞めるとどんどん回復していくからだ。


「倭子さん!全員の魔力が付きかけてます!」

Sクラス委員長が言う


「最後、示指したら自分の得意な魔法を一斉に最大で撃ってください」

「倭子さん?」

「大丈夫です!最後は私がしっかりとトドメを指しますので」


そう言ううと倭子は邪神の目に前にゆっくりと飛翔した。


「え?倭子ちゃんがもう一人」


倭子の横に無表情の倭子が一人現れた、最後の分身だ

”恨みの倭子”

二つの影が重なる


「皆攻撃を!」


幾つ もの魔法陣が重なり合う

邪神はうめき声を上げるがやはりHPは減らない

魔法陣が消えない内に、倭子が仕掛ける最大級の浄化の魔法幾つもの魔法陣に光が重なる


「綺麗」


遠くの舩に避難している軍人、サポート部隊の生徒達


「「ギャーー!!!」」


すさまじい音と共に邪神が黒い霧となって消えた


!!!うわー!!!

船の上の人たちは歓喜に沸いた


「やったな!」

司令官と補佐官がグータッチして喜んでいた。


「・・・司令官、何か変です」

言葉を発したのはモニターで戦況を確認していた兵士


「どううした?」

「戦場で歓喜している者が一人も居ない、皆呆然としているように見えます」

司令官がモニターを見る。

「ん?あれは榊原か?いつのまに戦場に?」






膝を突きエクカリバーを杖代わり、に荒く息をする倭子、

周りが静まり返っているのと別の異様な気配を感じていた。


「はーははは!」

手を叩きながら不気味な笑いを発する榊原が居た。

「邪神 討伐成功おめでとう~これて我が主が復活出来る」


榊原の周りに黒い霧が現れる

徐々に形になる異様な物体


「悪魔・・・」

そうつぶやいた倭子だった。






倭子は邪神討伐と同時に、4人の下僕と従者を解除していた、レベルが上がっていたので、記憶が亡くなることも無く、精神異常も起こらなかった。

しかし、倭子とつながっていれば彼らはやつに支配されずに済んだのだが、倭子が気がついたときにはもう遅かった。


「さぁ!皆の者!その娘を殺せ」


残りもう少ない魔力を使いそこに居た、転生者、倭子以外の者が一斉に倭子に攻撃を仕掛ける、


(いやぁ・・・止めて)

(体が勝手に動く!止めてくれ~)


生徒たちは心で叫ぶ!泣く!でも体が勝手に動いて倭子を攻撃していた。


防御もかなり強かった倭子だが魔力が殆ど底をつき、防ぎきれなかった、そして浅水と宮本の攻撃が最後・・・・・倭子を貫く。

ただでさえ底上げされていた力、倭子の体はばらばらになって地面に血だまりを作っていた。


「「「「「「・・・・・・・」」」」」」」」

「「「「「「きゃーっ!」」」」」」」

「「「「「「うわっぁ~」」」」」」」


体が動くようになった生徒たちは、泣き叫び悲痛な悲鳴をあげた


「泣き叫べ!わめけ!力がどんどん膨れ上がる!はーはははっ」

榊原の壊れた笑いが島を揺るがした。


首がもげ、手足がちぎれ内臓がはみ出す倭子の死体、

その周りに光が集まっていることに皆、まだ気がつかないでいた。


"悪魔”から黒い霧があたり一面を覆いつくす







船の面々

「何が起きている!?」

「分りません、生徒たちが仲間を攻撃したように見えました。」

「この黒い霧は?邪神は滅ぼしたんじゃ無いのか!?」

「霧で映像が見えません」


「死んだ・・・」

「?・・・だれが?」


司令室に居たのは、学園の3年生、索的に優れていたので指令室に居る。

「倭子ちゃんが、しんだぁ!~・・・うわー!」

泣き出す女子生徒・・・・


「どうして?なぜ?」


ワーワー泣いて埒があかない


「映像戻ります、霧が晴れました」

「!何が!」

「うっ・・・渡辺倭子・・・・!?」


悲惨な遺体が映像に映し出される。


悲痛な叫びが戦場に漂う

正気を失いかけている者もいた。












黒い霧がどんどん広がり、ますます悲壮な空気が漂っていた


スパーン!


霧が斜めに切りられる


「ぐえっ・・・な・・・何が」

榊原が苦痛の表情を見せる


見ると空中に黄金に輝く柄の長い鎌が浮いていた。

倭子の遺体の周りの光が鎌の周りに終結する。


『即効で作った割りに、切れ味いいねぇ』


倭子の声が響いた。


「「「「倭子(ちゃん)(さん)(渡辺!)」」」」」」


「ぐふっ・・・」

榊原が黒い血を吐く


『わぁ・・・悪魔に乗っ取られるとそうなるんだ・・・人間止めてるね~』


「倭子ちゃん綺麗・・・・」

誰かが言った、

実際輝いていた金色に光る倭子


『皆!もう大丈夫だよ、悪魔を滅する鎌を作りに神域に行ってて、少し助けに来るの遅れたね、回復するね』

<精神異常、体力、魔力回復、世界浄化>


倭子の周りに魔法陣が広がる地球全体を囲んだ


榊原が地面にものすごい形相で斜めに切られて死んでいた。


倭子の周りに皆が集まる

『他の人にも説明するね』


舩の人たちが倭子の力で転移してくる。


『皆ありがとう、邪神とおまけの悪魔も消滅しました。』


「悪魔!!?」

「あの黒い霧?」

ざわざわと話す皆


『これからは特殊能力者は多分生まれません、前世の記憶保持者も生まれません、魔素も薄くなり、能力、魔法も仕えなくなるでしょう、皆さんは勘のいい普通の人になって行きます』


「能力が無くなる?」


『50年後には無くなっているでしょう、この世界に似た世界に合わせて化学も発展させたのはそのせいです。徐々に魔法から化学の世界に移行してくださいね』


「倭子ちゃんは?」


『私は死んでしまいましたから・・・』


そう言って自分の遺体の方を見た


「・・・・・」

『私を殺したなんて思わないでね、私はいずれこの世界から消えなければいけない存在だったので』


「うっ・・・ぐすんっ」

「うえっ・・・あーん!」


誰からか泣き出す


『目障りだよね私の死体・・・消し炭に・・・・』


「だめ!」

叫んだのは雅だった


遺体の近づき倭子の頭部を抱きしめる

「いや!倭子ちゃん!いや!」


『・・・・雅ちゃん・・・・その姿シュールだから・・・ちょっと怖い から・・・解ったからちょっとそれ置いてくれる?』


雅に近づいてそう言う

「倭子ちゃん」

雅が光る倭子に手を伸ばす

手は倭子の体を通り抜ける

「・・・・・」

ぼろぼろと大粒の涙が雅の目から流れ落ちる

頭部をそっと岩場にそっと置く。


遺体の横に棺桶が現れた。

倭子は自分の遺体を綺麗にして目を閉じさせてその中に揃えて入れた。


司令官の前に請求書が

『棺桶代、ごめん払っといて』


倭子の事をあまり知らない兵士達も、雅たちにつられて泣いている


「渡辺・・・お前はどうなる?」

聞いて来たのは西田だった

『私ね神になっちゃった・・・皆とは別の魂になっちゃった』

「神・・・・もう会えないのか?」


『どうだろ?何処かでまた転生するかもしれないし、神様やってるかもしれないしそれは解らない』


『今世ではさようならだ、皆この世界をよろしく、皆に幸有らんことを』


「「「「「まって!」」」」

皆が叫んだが、


倭子は消えた。


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