第20篇24

彼が24歳の頃、世の中は景気がよかった


俺たちは金のためにやってるんだ……というより


俺たちは遊ぶために働くんだという感じ


音楽も毎日新たな発見があった


彼が24歳の頃、仕事はいくらでもあった


いくら食べても太らない


若さってもろ刃の剣なんて言葉もなく


そんなワルでもない彼は


仲間やガールフレンドと徹夜で遊ぶ


翌日の仕事も難なく勤め


ある意味若さって無敵?自覚はない


彼が24歳の頃、周りは友達だらけだった


その後の悪夢なんて浮かぶわけもない


今にして思う……


彼の人生は24歳で終わってるのだ


それ以降は生きてるとは言えない


覇気のない表情をして


もちろんガールフレンドも去り


彼は色の褪せていく夕陽を


この世の終わりの如く背中で


とぼとぼ歩く


24歳の彼はモテたが……


今の彼に振り向く女の子はいない……


彼は24歳までは踏ん張った


でも隠居宣言してしまった


奇しくも30で隠居すると


24歳の頃思い浮かべてた


彼の人生遍歴はほぼ予想通りに進む


彼の人生は24歳で終わってるのだ


そのことにも気づいてるのか?


しらばっくれてるのか?


誰も気にも留めない


彼は本当にひとりぼっちだった


しかしそれが苦痛でもなくなってる


彼の人生は24歳で終わってるのだ


2015(H27)7/27(月)・2020(R2)6/3(水)


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