甘いカクテル言葉と彼の文才に酔わされて

本作は、さり気なく散りばめられた、幾つかの対比で構成された恋物語です。
ある携帯小説を巡って対立する主人公と同期の男。無精髭の男が紡ぎ出した夢のような小説。そして、どことなくカクテルの似合わない初々しい二人。
ラストで相入れなかった二人のカクテル言葉を借りたやり取りは、また格別です。

カクテルというと、大人のしっとりとした恋愛が思い浮かびますが、本作は、背伸びしないありのままの大学生が生き生きと描かれているところも魅力です。

個人的には、主人公が最後に注文した『シンデレラ』というカクテルに込められている意味について、作者様が応援コメントで返信されている内容に一番酔いました。

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