からかい

「っく、ぷははは。やっぱりこの子可愛いすぎじゃない?」

メディアさんが、そう、とても楽しいそうに言った。

そして、私はとても顔を真っ赤になっていた。

「ああ、そうだとも。家のクレアは、それはもう可愛い!!」

そして、彼は、我が子を褒めるように言うのだった。

「ぷー、なんですか。子供扱いするんですか?」

「もう、本当可愛いすぎ!!」

私は、思うのでした。私が、尊敬していた人は、こんな人だったのだろうかと。私の中での、メディア・セルシアさんは、それはもう偉大で、とても綺麗なお方であり、そして、とても強い。そんなイメージだったのですが…………ボクってなんですか!!それに、私のことを可愛いだなんて…………

「メディア、そんなに可愛いって言うからクレアの顔が真っ赤になってるだろ?」

「はは、顔が真っ赤になってるところも可愛い。………ねえ、ボクと一緒に旅に出ない?」

おそらく、こんな姿を見る前だったら、すぐにはい!!と言っていただろう。でも、今は、そういうわけにもいかない。だって、せっかく仲間がいるわけですし。…………それに、この人は、とても危険な気がするのです。

「ご、…………ごめんなさい!!」

「そっか。駄目かー」

(あのー、この人ってこんな人でしたっけ?)

(そんなこと俺に聞いても分かるわけないだろ。だって、俺は、つい最近まで、知らなかった人だぞ?でも、確かに、クレアの話しからは、想像できる人ではなかったな。まあ、でも面白いからいいじゃないか?)

(お、面白いって…………私は、とても身の危険を感じるのですけど………)

「なになに、ボクを差し置いて、お話?なら、ボクも入れてよ」

「あ、もう終わりました」

「えー、なんだが、ボク、クレアちゃんに距離を置かれている気がするんだけど、なんでだと思う、少年?」

「俺に聞いてもわかんないさ」

「そう。まあ、いい。可愛い子とも出会えたわけだし、ボクもそろそろ戻らないといけないから、ボクは、ここでおいたまさせてもらいよ」

「おう、そうか。でも、俺達から離れる前に言っておきたいことがあるんだけど、いいか?」

「勿論いいよ」

「ありがとさん。今から言うことは、俺の中では確定事項だ。メディア・セルシアに言うことがある。俺の名前は、ユズル。そして、俺は、君に宣言する。お前を2ヶ月以内に俺達の仲間にする!!」

「はあ?ボクを君達の仲間にする?それは、どういう風の吹き回しだい?」

「どういう、風の吹き回しもなにも、唯お前を俺の仲間にするだけだ。あ、それに、他の異名持ち達も仲間にする予定だ。それが、魔王討伐における1つの鍵だと思っているからね」

「ふふ、君は、本当に面白い子だね。私を仲間にするか。しかも、2ヶ月以内に。それに、他の異名持ちもか。それは、楽しみだな。まあ、楽しみに待っているよ。じゃ、ボクはこの辺で」

そして、メディアさんは、私の前から消えていった。

「ユズル。それが、貴方の名前なのですか?」

「ああ、そうだ。ってか、俺教えてなかったけ?」

「教えてもらっていませんね。………で、さっきのは、本当に、ユズルの中ではもう確定事項なのですか?」

「当たり前だろ」

「そうですか。……………でも、あと2ヶ月でどうにかなるのですか?」

「それは、わからん。でも、俺は、少しだけこの2ヶ月の間に、なにかが起こる予感があるんだよな。それも、メディア柄みで。まあ、この予感が外れた本当に、メディアを仲間にする目処なんかないんだけどさ」

ユズルは、そういい笑うのであった。

「そうですか、じゃあ、戻りますか」

「そうだな」

そして、私達は、ユリエのところへ戻るのだった。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る